実家、親戚、友人などからの贈り物「縁故米」
同機構に聞いてみた。ただで入手するコメは、いわゆる「縁故米」と呼ばれるそうだ。実家、親戚、友人など農家から送ってもらうコメである。
この調査が始まった2011(平成23)年を見ると、「縁故米」を入手する家庭は23.5%だった。農家が減ったことなどで、現在は縁故米の割合は減っているものの、2024年9月の20%という数字にはやはり驚かされる。5軒に1軒は「無料で」コメを手に入れていることになる。9月は新米が出はじめる頃である。
たとえば、新潟出身の女性は毎年実家からコメを送ってもらっているが、夫の実家である秋田からもコメが来る。コメの品種は違うが、コメのありがたみを噛みしめているという。
江藤拓前農水相は「コメを買ったことがない」と話して辞任に追い込まれた。これも「縁故米」の話だ。
同調査では「精米購入経路別の購入単価」も調べている。どこで買うのが安いかである。キログラム当たりいくらかで算出している。
安いのはディスカウントストアである。2023(令和5)年度で見るとディスカウントストアの価格は325円(キロ当たり)で、生産者からの直接購入のほうが338円(同)とちょっと高い。意外に安いのはドラッグストアで、361円(同)。
ところが、コメ不足が騒がれ始めた2024(令和6)年になると変化してくる。生産者からの直接購入が圧倒的に安い。同年10月で比較すると、ディスカウントストア577円(同)、ドラッグストアが582円(同)に対して、生産者からの直接購入は381円(同)である。3割以上安い。この傾向は2025(令和7)年度も続き、令和7年8月の統計では、ディスカウントストアが606円(同)に対して、生産者からの購入は496円(同)と、かなりの差がある。もちろん、それより安い縁故米にはかなわない。
(リサーチ班)