東京で開かれた世界陸上に出場したカメルーンの女子選手が、電車内で吊り革を下げる金属棒につかまって体操する様子が映った動画をインスタグラムに投稿したところ、批判が相次ぐ炎上状態になった。この選手はその後、動画を削除し、エチケット違反だったと謝罪した。東京都品川区内のJR埼京線・大崎駅で停車している電車内とみられ、JR東日本では、「もし弊社の車両なら、迷惑行為になりますので止めてほしい」と取材に話した。「ちょっとした地下鉄体操もして...楽しい旅だった」頭を下にして、ぶら下がるように、この選手は、吊り革の下がる金属棒に両手でつかまっている。運動靴を履いており、土足のままだ。そして、1回転すると、サングラスを着けた顔を上げ、両足を後ろにある横の金属棒にかけた。周りを見た後、選手は、回転してぶら下がり、今度は、後ろの金属棒につかまる。また、吊り革を下げる棒につかまりながら移動した後、横の棒に足をかけ、頭を下にして、回転して飛び降りた。この選手は、弾みで少しジャンプすると、「ハハハハ......」と笑っていた。乗客は、終点で降りたのか、その姿は、車内では見当たらなかった。ただ、ホーム上を移動する乗客は、何人か見えた。この動画を投稿したのは、カメルーン代表として女子円盤投げに出場したノラ・モニー選手(28)だ。世界陸上の公式サイトによると、モニー選手は、2016年まで米国で活動していたが、その後は、母国の代表になって、アフリカの陸上選手権で銀メダルを獲得するなどしていた。世界陸上では、25年9月13日の予選で37人中の32位に終わり、ファイナルに進めなかった模様だ。とはいえ、インスタの投稿では、東京を満喫したと報告し、「ちょっとした地下鉄体操もして...楽しい旅だった」と明かした。今回の動画が25日に投稿されると、主に海外からは、その身のこなしに賞賛の声も書き込まれた。「日本の文化を軽視するつもりはなかった」としたが...ところが、9月28日になって、日本でも話題になると、「完全に迷惑インバウンドそのもの」「地下鉄の中は動物園ではない」などと疑問や批判が続々と寄せられた。モニー選手は、電車内でスマホを耳に当てて電話する様子のほか、乗客の顔が見える車内の写真も投稿しており、こうした点についても、批判を浴びた。その後、動画などを削除して、9月30日にインスタを更新し、日本語で「大変申し訳ありません」と地下鉄体操について謝罪した。英文のコメントでは、こう述べた。「法律違反はありませんでしたが、私の行動は、そのような場所で求められるエチケットに反しており、なぜ多くの人が不快に感じたのかが、今になって理解できました。その責任は、私にあります」ただ、「日本の文化を軽視するつもりはありませんでした」と釈明し、「今後は、訪れる機会のある違った環境の場所や文化において、より慎重に行動します」と誓った。「日本の皆様には、私の失礼な行動をお許しいただければ幸いです」として、コメントを締め括っている。地下鉄体操の動画について、JR東日本の首都圏本部は30日、J-CASTニュースの取材に対し、電車はJRの車両のように見えるとし、周囲の風景から埼京線の大崎駅で撮られた可能性があると答えた。そのうえで、「これが弊社の車両ということでしたら、一般のお客様にご迷惑をかける行為になりますので、お止めいただきたいと思います」と話した。ネット上では、駐日カメルーン共和国大使館にクレームを入れる動きが出ている。同大使館にも、取材を申し込んでおり、回答があれば追って伝える。(J-CASTニュース編集部 野口博之)
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