名古屋・栄を拠点に活動するSKE48が新曲「Karma(カルマ)」を9月24日に発売した。SKE48としては約10年ぶりのダブルセンターで、熊崎晴香さん(28)と佐藤佳穂さん(28)のベテランコンビが担当する。特に熊崎さんは3作連続のセンターで、松井珠理奈さん(28=21年卒業)、松井玲奈さん(34=15年卒業)のいわゆる「W松井」以来14年半ぶり。「絶対的エース」を目指しているという熊崎さんは「本当に『楽しい!』に尽きますね」と意気込む。グループは10月に発足18年目を迎えた。新曲への思いや、今後の活動への展望を2回に分けて聞いた。(聞き手・構成:J-CASTニュース編集委員兼副編集長工藤博司)もし親友の交際相手を好きになったら......?分かれた2人の反応―― 今回の楽曲は比較的落ち着いた印象ですね。熊崎: 今までは「ダンスのSKE48」ということで、バキバキに踊ったり、格好良く見せたりする音楽が多かったですが、今回はどちらかというと、しっとりとした、芸術の秋を思わせるような、きれいな振り付けになっています。今までとは違うSKE48を見ていただけると思います。佐藤: 今回は久々のダブルセンターということで、フォーメーションがきれいに見える楽曲になっています。16人選抜も久々です。劇場公演も元々は16人なので、16という数字の特別さも本作を通して感じています。―― この楽曲は「男の子」目線で、友人の彼女に告白して略奪してしまうべきか悩む内容ですね。アイドルは恋愛できないことになっていますが、「男の子」目線の心情を想像しながら歌うのでしょうか。熊崎: 私は結構感情移入する派なので、「どうしても好きになってしまったからしょうがない、この好きな思いを止められない」という思いを乗せて歌っていました。佐藤: やはりアイドルは何にでもなれて、いろいろなことを表現できる活動だと思うので、自分の思う、その楽曲の世界観を表現するようにしています。(16人で)16通りのパフォーマンスをして出来上がるこの楽曲も、まとまりがあって魅力的だと思います。10代の子たちは何を考えながらやってるんだろう......?と少し思ったり、見て想像したりするのも楽しいです。―― この楽曲のテーマで言えば、何を捨てて何を取りに行くか、なかなか難しい問題ですよね。思い切って自分の思いを伝えたら、親友との関係が破綻する。あるいは、親友との関係を守るために告白を諦めるか。お二方は、このような立場になったら、どちらの道を選びますか。熊崎: 私はもう親友を取ります。―― 保守的に行かれると......。熊崎: そうですね、親友を取るというか、本当に自分は面倒くさがり屋なので、たとえ「好きになっちゃったな」と思っても、「親友といざこざ起こるのやだしな」「面倒くさいな」「考えるのやーめた!」となっちゃって、それですぐ冷めちゃうというのはあるので、親友といることにします。佐藤: 私は伝えると思います。「親友を取るか否か」という判断というよりも、(思いを)隠したまま親友との関係を維持できない気がして......。なので、親友にも大切さを伝えて、好きになっちゃった方にも気持ちを伝えた上で、周りがどう判断するか。そこに委ねるかな、と思います。16人は「ほどよく多く、ほどよく少なく」ミュージックビデオ(MV)では、本拠地・栄の街並みを再現(c)2025Zest,Inc./AMC―― ミュージックビデオ(MV)も特色豊かですね。栄の町並みが再現されていて、SKE48劇場がある「サンシャインサカエ」のような建物もあります。熊崎: 撮影の時は電信柱などが置かれていて、その後ろにグリーンバックがありました。完成した映像を見て、きらびやかな栄の街が、かっこよく再現されていて感動しちゃいました。―― 本当によく再現されていますよね。「この辺にドンキ」みたいな想像もできますね。佐藤: いつも見る風景です(笑)。―― 先ほど、久々の16人選抜だという話題がありました。16人選抜は、23枚目シングル「いきなりパンチライン」(18年)以来、実に12作ぶりです。前作は12人選抜で、その前は18人が6作品続きました。16人ならではの安定感のようなものはありますか。佐藤: なんかしっくりくる感覚は......。熊崎: ほどよく多く、ほどよく少なく。佐藤: なぜか18だといつもより多く感じるし、12だと少なく感じます。16になると、なんかしっくりきますよね。熊崎: 不思議なんですよ。AKB48グループの最初のイメージが強いのもあるかもしれません。―― なんとなくデフォルト(初期設定)という感じはありますよね。熊崎: 劇場公演も16人体制でずっと作ってきているので......。佐藤: 染み込んでいるのかもしれないですよね。―― さて、熊崎さんは8月5日配信の番組で、3作連続でセンターを務めることについて「憧れの珠理奈さん、玲奈さんに引き続き、大好きなSKE48で歴史に名を刻むことができて、とてもうれしい」と話していました。調べてみたら、3作連続センターは14年半ぶりです。グループの歴史を振り返ると、センターの連続記録で過去最長が松井珠理奈さん(28=21年卒業)の15作(1枚目「強き者よ」(09年)~15枚目「不器用太陽」(14年))です。次に長いのが珠理奈さん、松井玲奈さん(34=15年卒業)の「W松井」による3作連続ダブルセンター(3枚目「ごめんね、SUMMER」(10年)~5枚目「バンザイVenus」(11年))。玲奈さん卒業から10年たちますが、いよいよ「W松井」に近づいているような実感はありますか。熊崎: 私がセンターに立ちたいと思ったのは、珠理奈さんと玲奈さんを見て「かっこ良かったからあの場所に立ってみたい」と思ったからです。そんなお2人に少し近づけた気がしてすごくうれしかったです。そんな2人のような絶対的エースになりたいという目標もあったので、そういうSKE48の歴史に名を刻むことができたことが本当に嬉しかったです。ファンの皆さんも「今回どうなのかな」と心配されていたので、壁というものを乗り越えられたのは、すごくうれしかったです。―― 番組では、センター起用を事務所から伝えられる様子も流れていました。お二方の様子は対照的でした。熊崎さんは驚いたような表情でしたね。熊崎: 表情うるさいですね......!(笑)何となく自分の中では「違うだろうな」という空気感熊崎晴香さん―― どういった思いで、あのような表情になったのでしょう。「続投いけるかも」「厳しそう。ポジション下がってしまうかも」などあると思いますが、実際のところはいかがですか。熊崎: 正直(センターには)立てないと思っていました。自分としては「もう、多分変わるだろうな」と思っていましたが、「それでもまた立ってやるぞ」という気持ちもありました。ファンの皆さんには、「もちろん次も立ちに行くからね」という気持ちは伝えていましたが、何となく自分の中では「違うだろうな」という空気感はありました。なので、(3回目のセンターを知らされて)驚きがめちゃめちゃありました。もちろん自分が目標にしているのは絶対的エースですが、今は「センターに立ってもいいな」と思える、魅力的なメンバーがたくさんいます。誰がセンターに立ってもしっくりくる、というのはグループの強みだと思います。これはグループにとってはいいことだな、と思いつつ(話を聞きに)行ったら、びっくりしてああいう表情になっちゃいました。―― 「魅力的なメンバー」、つまり熊崎さんにとっては競合が多いわけですね。熊崎: 本当にそうですね。みんな素晴らしいので......。―― 一方で、佐藤さんは「リアクション薄くて」と話していました。動画だけ見ると、淡々と(センター起用の知らせを)聞いているようにも見えますが、実はそんなことはないんですよね。佐藤: そうです......!でも、うーん、本当にリアクションが薄い方なのですが、何事もすごい深く考えてしまうので、言われたときに「何でだろう?」というのは感じました。素直に「やったー!」が最初には出てこなくて、すごくいろいろ考えたのですが、ファンの方がずっと(センターを)願ってくださっていたこともあるので、そこが一番頭に浮かんだというか......。(ファンの皆さんに)早く報告したい気持ちが自分の気持ちに勝った、というのはあります。―― センターに立ちたいという気持ちをずっと持ち続ける中で、事務所に呼び出されるわけですよね。そのときは、多少は期待して出かけたのですか。佐藤: うーん、もう期待しないように活動をしていたので、あまり期待はしていませんでした。(過去のセンター発表で)こんな感じなんだ、なんかみんな「本当ですか、ドッキリだと思った」と言っている映像を何回も見ていたので、「本当かな?」って思ってたんですよ。ですが、実際に言われたときに、私は「ドッキリかな?」とならずに、「わかりました」という感じでした。何か言われたらちゃんと受け止めようと決めて過ごしていた時期でもあったので、もう覚悟の顔というか、自分で見ても何か肝がすわっていると感じました。―― なるほど、言われた瞬間は、何か考えているような表情にも見えました。佐藤: はい、めちゃめちゃ考えて......。「言われるかな、言われるとしたらいつ言われるんだろう」「言われたら、どうリアクションしたらいいんだろう」とか......。実際に言われたときは本当に実感がなくて......。なので、うーん、今となっては、もっとリアクションすればよかったと感じますが、ファンの方は「あれが佳穂ちゃんらしい」と言ってくださるので、自分の素をちゃんと届けられたのであれば、それはそれで良かったと思います。ダブルセンターは10年ぶり、その良さとは佐藤佳穂さん―― 熊崎さんは、前作のインタビューでは、2回目のセンターということで、「『どんとやろう』『私がSKE48のセンターだ』という気持ちで堂々と立っていられるようになった」と話していました。3回目のセンターというのは、1、2回目とは見える景色は違いますか。熊崎: 本当に「楽しい!」に尽きますね。一つ一つのお仕事を、今を楽しまないともったいない、とすごく思うようになりました。1回目は周りが見えておらず、緊張と「どうしようどうしよう」という怖さで窮屈になってしまっていた部分はありましたが、徐々に自信になって、3回目は「こんなに楽しかったっけ?」という違いを感じることができています。少しだけ余裕を感じることができてすごくうれしく、少し成長できたと思うようになりました。―― 佐藤さんは表題曲MVでは、「自分の前に人がいない」初めての経験です。緊張しましたか。佐藤: 実は、あまりしませんでした。どこに行っても自分がセンターだと思ってパフォーマンスをすることが大事だと教えてくれた先輩がいたので、それを自分の中でも大事にして活動してきました。そうは言っても、撮影をしていく中では、やはり足りていないと思う部分もありました。MVは完成度が高くてうれしかったですが、「ここはもうちょっとこうできたな」とか、「こういう見せ方したかったな」といったことも、後々出てきたりもします。瞬間瞬間を悔いがないように撮影に臨んだので後悔はありませんが、今日も、終わってから「こうできたな」と反省すると思います。そういったことが重なって今回のシングルの思い出になると思っています。―― なかなか100%にはならないですよね。自分(記者)の側も、「これを聞いておけば良かった」「こういう聞き方をすればよかった」と反省すると思います(笑)。さて、ダブルセンターは、17枚目シングル「コケティッシュ渋滞中」(15年)以来10年ぶりです。ダブルセンターの良さはどこにあると思いますか。熊崎: 心の面では、隣にいてくれるのが、すごくありがたいです。「一緒に頑張ろう」と隣で言える仲間がいるのはうれしいですし、「16人みんなで頑張ろう」となります。フォーメーションの美しさもあると思います。2人が交差しながら踊ったりするのはダブルセンターの構成でしか見られないものだと思うので、そういう部分も楽しんでいただけたらうれしいです。(インタビュー後半に続く。10月6日掲載予定です)熊崎晴香さん プロフィールくまざき・はるか 1997年生まれ、愛知県出身。12年に6期生としてSKE48に加入。15枚目のシングル「不器用太陽」(14年)で初選抜。19枚目の「チキンLINE」(16年)以降の全シングル表題曲に参加している。趣味のひとつが競馬で、19年からコラム「ハルカ伸るか!反るか!」(東京スポーツ)を連載している。23年8月に写真集「表情ガール」(扶桑社)を発売。TeamS所属、副リーダーを務める。佐藤佳穂さん プロフィールさとう・かほ 1997年生まれ、愛知県出身。16年に8期生としてSKE48に加入。23枚目のシングル「いきなりパンチライン」(18年)で初選抜以降、全シングル表題曲に参加している。20年からラジオ「さとかほLAB」(やしの実FM)にてパーソナリティを務める。TeamKⅡ所属。チーム変更前はTeamEに所属し、22年11月から25年3月までリーダーを務めた。
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