大阪・関西万博の閉幕が迫る中、未使用入場券の当日券への交換や、朝9時入場の先頭を巡る争奪戦が過熱している。J-CASTニュースの記者が2025年10月6日の夜、万博会場を訪れ、徹夜で並ぶ人たちの思いを聞いた。「せっかくなら一番に並びたい」時刻は夜の21時、この日の大阪は曇りで気温は22度と過ごしやすい気温となっていた。万博会場から帰る多くの来場者で夢洲駅付近が混雑する中、明日に向けた「争奪戦」は既に始まっていた。記者が東ゲートの門の近くを訪れると、既に約40人が明日の当日券の交換や、9時入場の先頭を目指して待つ姿が見られた。先頭集団で待っていた兵庫県明石市の50代主婦は、家族5人分の当日券の引換のため、14時頃から並んだという。「夜20時とか18時から並んでいるという報道を見て、せっかくなら一番に並びたいと思った」大阪市の50代自営業女性は18時頃から列に並んだ。「暑さが収まってから来ようと思っていたが、9月になったら予約が既に埋まっていた」こう悔やむ一方で、チケットの販売方法について、期間を自由に選択できるようにするのではなく「7月限定券といった、狭い期間を指定した券も販売してほしかった」と嘆いた。ただこの女性は、あと1日券が2枚あるという。「明日も『万博泊』をして、並ぼうと思っている。大屋根リングがなくなる前に一周したい」「始発で来たら間に合わない」の声も大阪府河内長野市に住む40代の主婦は、10歳の息子と徹夜組の列に加わった。「河内長野からだと始発で来ても7時半になってしまう。そうすると当日券がなくなってしまうと思った」と、列に並んだ理由を教えてくれた。9時入場の先頭を目指して並ぶ奈良市の30代自営業女性は4回目の万博で、「母を住友館に連れて行きたい」と徹夜で並ぼうと思ったという。「もう終わってしまうのは寂しい。万博は一生でも最後の機会だと思う」と話した。記者が話を聞いていると、22時半となり、列は100人以上となった。並ぶ人たちは万博の情報を交換し合っていて、ある種の「コミュニティー」が生まれている場面もあった。16時半頃から並ぶ神戸市の40代会社員男性は、通期パスで約30回来場したという。4回ほど徹夜で並んだことがあり、9時入場の先頭を目指す。万博の魅力を次のように語る。「万博で世界各国の人と交流できたり、当日に思わぬイベントがやっていたり、オリジナルのグッズももらえる。また、たくさんの人と万博の情報の交換を通じて、知り合いになれる」徹夜して並ぶのは「ぜひお控えいただきたい」と万博協会万博会場では、8月中旬頃からオープンと同時に入場し、先着予約や当日予約をより多く取りたいといった来場者が早朝4時頃から並ぶ姿がたびたび見られた。9月中旬以降には「駆け込み万博」の予約が相次ぎ、閉幕まで予約枠がない事態に。救済措置として、9月27日からは購入済みの未使用入場券を会場前の引換所で当日の12時以降に入れる当日券と交換する対応を始めた。ただ、1日数百枚だけとあって、確実にチケットを交換するため、徹夜で並ぶ人の姿も。早朝の7時前後には既になくなっていることも多く、引換所前では枚数制限があることを知らずに訪れた人が近くのスタッフに尋ねる様子がよく見られた。万博協会の高科淳副事務総長は9月30日の定例記者会見で、会場内で安全に過ごしてもらえるようにするため「現在の枠を大きく超えて増やすのは非常に難しい」と述べた。その上で、徹夜組や早朝から待つ来場者の存在について、「(早朝前に)警備員の配置が難しく、仮に何かあっても診療所も開いていない。ぜひお控えいただきたい」と呼び掛けた。
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