維新に急接近の自民、くすぶる分裂の火ダネ 党内摩擦の背景に「積極経済路線」

石破氏がどう出るか?離党した過去がある

   もうひとつ懸念がある。「元首相」となる石破茂氏は「保守中道」の代表的な論客だ。高市氏ら保守派が強く反対していた「戦後80年所感」を10日に発表したばかり。その石破氏には、自民党を離党した過去がある。リクルート事件で自民党に対する不信感が渦巻く中、若手議員らが作った「ユートピア政治研究会」に参加。1993年に小沢一郎氏らが脱党して、8党派の細川連立政権を作った時に、行動を共にした。

   その後、党内抗争に嫌気がさして、自民党に戻った。そんな過去がある石破氏が志半ばに退陣。さて、この先どう出るのか。

   杉田敦・法政大教授は、「世界を見渡せば、かなり考え方が違う政党が争点を限定して連立している」という。「意見が異なる問題については基本的に現状維持とし、中心的な課題について内閣をつくればいい」「今回野党の動きが鈍いのは政党政治への理解が浅いからだ」(「朝日新聞」2025年10月15日)

   かつて1993年に自民党を集団離党した小沢一郎氏らが作った8党派連立政権は、わずか10か月で崩壊した。今回も、多くの政党が交錯する中で、成立した政権が安定するのは簡単ではない。

(ジャーナリスト 菅沼栄一郎)

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