利益とブランド力、行政側の指導のバランスを取ろうとしている
この話を踏まえて井上氏は、メルカリにも同様の構造があると指摘する。つまり同社においても、(1)グレーゾーンを許容すること(2)行政側からの指導があること(3)許容に伴ってユーザーからの評価が下がること――の良いバランスを目指さざるを得ないという。
「転売が明らかな法律違反なのであれば禁止できるが、これはグレーゾーンです。『常識的におかしい』という話について、企業の判断は難しいと思います。警察からの指導があれば対応しやすいのですが、1企業の判断だけでは踏み込みづらい」
これらに対処することによってメルカリは、企業の利益とブランド力、行政側の指導のバランスを取ろうとしていると、井上氏。「コンプライアンスを遵守する中で、ブランド価値を損ねないように場を運営していくことを、メルカリは今目指していると思います」
今後の転売行為については、一部のグレーゾーンは残るという。自然に値上がりするプレミア価格と、意図的に高値で売る転売の境界線が曖昧だからだ。だが、「プラットフォーム側は転売を撲滅したいと思っていると思う」とし、「基本的に近い将来なくなるだろう」との見解を示す。
また井上氏は、フリマ業界全体でも「同じような基準で足並み揃えるだろう」とし、メルカリ以外での転売行為も減っていくとの考えを示している。