自民党の高市早苗総裁は、日本維新の会と連立を組むことで、初の女性首相に就任することが確実となった。首相指名選挙が、2025年10月21日召集の臨時国会で行われる。
だが、数合わせのために参政党やNHK党にまで接近する姿には「節操がないを通り越して、気持ち悪い」「いよいよ自民は終わった」とSNS上で呆れた声が広がっている。
国民民主・榛葉幹事長「数合わせに必死だね」
公明党の連立離脱によって、一時は立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の野党が手を組めば高市首相就任を阻止できる可能性が浮上していた。しかし、首相候補に担ぎ上げられた国民民主党の玉木雄一郎代表が曖昧な態度を繰り返すなど3党の政策協議はまとまらず。その間に日本維新の会が自民党に急接近し、首相指名選挙で高市氏に投票する方向で話がまとまった。
同時並行で高市氏は、多数派工作を仕掛けていた。衆院196議席の自民党に35議席の日本維新の会が加わると、過半数の233議席まで2議席足りない。また、参院でも101議席の自民党に18議席の日本維新の会が加わり、過半数まで6議席不足となる。
自民党は、政治団体「NHKから国民を守る党(NHK党)」の斉藤健一郎参院議員に協力を呼びかけ、参院の自民会派に迎え入れた。この仲立ちをしたのは自民党の西田昌司参院議員で、いわゆる「裏金議員」の1人であることに加え、過去には沖縄戦の「ひめゆりの塔」を巡る問題発言で謝罪に追い込まれる騒動を起こした人物でもある。
NHK党といえば、2024年の東京都知事選ではポスター掲示板の枠を事実上販売し、誹謗中傷など選挙とは無関係の内容が貼られる問題を起こした。さらに同年の兵庫県知事選でも、他の候補を当選させる目的で立候補する「2馬力選挙」で斎藤元彦知事の勝利を後押しし、選挙の公平性を脅かすような活動で物議を醸してきた。
NHK党の会派入りに対し、政局から置いていかれる形となった国民民主党の榛葉賀津也幹事長は、
「N国(注:NHK党)と自民が会派を組むとはびっくりした。数合わせに必死だね」
と皮肉を込めた。紀藤正樹弁護士は自身のX(旧Twitter)にNHK党と旧統一教会との接点に触れて「あまりに残念すぎます。自民党が参議院で共同会派を組むNHK党と統一教会との関係。統一教会が過去から現在まで生み出したおびただしい被害者のことを考えてほしい」と投稿。再び自民党が旧統一教会と癒着する可能性を懸念した。
高市氏「参政党と政策が近い」神谷代表「期待はある」
さらに高市氏は参政党にも接近。神谷宗幣代表との会談では「参政党と政策が近い」と語り、協力を求めたという。神谷氏は是々非々を強調しつつも、
「高市さんが首相になるなら、日本は少しいい方向に行くのかなという期待はある」
と語り、協力に満更でもない態度を見せた。
参政党といえば、2025年7月の参院選で初当選した塩入清香氏が選挙期間中に核武装を肯定するかのような発言をし、プロパガンダが問題視されるロシア国営通信社「スプートニク」のインタビューにも応じて批判を浴びた。党としては過去に新型コロナに関する陰謀論や、小麦粉に関する根拠不明の主張を展開していたことでも知られる。
5月に発表した新憲法の構想案では、国民ではなく「国」が「主権を有し」と記述。さらには「国民の要件」を「日本を大切にする心を有することを基準として、法律で定める」と定義するなどの内容に、憲法学者から「怪文書」と呆れられる始末だった。
一方で参政党には、日本維新の会が自民党に要求する議員定数の削減に警戒する動きもある。参政党の安藤裕参院議員はX(旧Twitter)に、
「参政党はじめ多くの少数政党はつぶされる。一部の政党の特権階級化が進む。騙されてはいけない」
と投稿。神谷代表も「この話を聞いた時、私と安藤さんはすぐに気がつきました」と同調した。首相指名選挙で高市氏の求め通りに動くかが注目される。
2ちゃんねる創設者の「ひろゆき」こと西村博之氏は10月19日、自身のYouTubeチャンネルで、「高市さんは『総理になりたい人』なんですよね。総理になって何をしたいっていうのを明確に言ってるのをあんま聞いたことがなくて」と言及。さらに、こう指摘した。
「その場その場で右側の人が喜ぶようなこと言ってるんですけど『今までの自民党ではできなくて、高市さんがやることでこういうことを実現したい』みたいな哲学を語ってるのは、僕が見たことないだけかもしれないですけど、たぶん総理になることが目的の人なんだろうなと思ってて」