自民党と日本維新の会は連立合意書で「衆院議員の1割削減」を明記したが、政治団体「チームみらい」の安野貴博党首(34)は、2025年10月20日放送の「news23」(TBS系)に出演して、「定数削減で民意は反映されにくくなる」と批判した。「日本は国会議員がそもそも少ない」安野氏は定数削減の懸念点として、「国会議員の新陳代謝がより悪化する」「日本は国会議員がそもそも少ない」「定数削減のコストメリットは限定的」の3つを上げた。安野氏は「現時点ですら、私みたいな新人の未経験の人が政治家になるのは相当なハードルがあるなかで、さらにハードルが上がってしまいますね。われわれのようなスタートアップ政党というのは、もう出てこれなくなるんじゃないか」と指摘した。さらに、「比例の定数を削減すると死に票が増えるので、少数の人の民意は反映されにくくなります。たとえば、若者であるとか、子育て世代といった、全体から見るとボリュームが少ないセグメント(集団)の層の人たちが当選しづらくなるわけですよね」と不安を披瀝した。JNNの試算でも、衆院の465議席を約1割の50議席減らすと、自民党や立憲民主党の議席は2割減程度だが、その他の党は半減だったり、ゼロになったりする。安野氏は「自民党や維新の会は議席は減っても、(全議席の中の)シェアは増える可能性があります。身を切る改革とおっしゃっていますけど、自民と維新は本当に身を切っているのかということを冷静に考える必要があると思います」と厳しい。定数削減で得られるコストメリットは限定的?ゲストのTBSテレビスペシャルコメンテーター・星浩氏(ジャーナリスト)も、「比例だけを減らすと、民意の反映というのはどんどん薄まってきますから、安野さんのようなアイデアマンの人たちが、ますます国会に入りにくくなるというのは間違いないと思いますね」とうなずく。今後、自維連立政権の「定数削減」は本当に身を切る改革になっているのか、という議論が高まりそうである。ちなみに、「日本は国会議員がそもそも少ない」という懸念は、安野氏のX(旧ツイッター)などによると、OECDの調査では日本の国会議員定数は100万人あたり5.65と38か国中36番目で、人口比でいえばイギリスの4分の1、ドイツの2分の1程度。日本は決して多くないという。また、国家予算100兆円と比較すると、定数削減で得られるコストメリットは限定的としている。星氏も「(国会議員を)50人減らすと30億円の削減になるというのですが、月100万円の旧文通費(調査研究広報滞在費)を50万円にすれば40億円の削減になりますので、人数を減らすよりも、不明朗な、どうもはっきり使い方がわからないような経費を削るということが、すぐできることですので、そちらの方に精力を傾ける方が大事というふうに私は思います」と解説した。(シニアエディター関口一喜)
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