東京ディズニーランド(TDL)のレストランで、お子様メニューを「ペースト食」に加工してもらい、普段は「胃ろう」から栄養を摂取する7歳の娘が口で味わうことができた──。このような喜びを伝える体験談にXで温かい声が広がっている。
実は、食事のペースト加工は、バリアフリー施策の一環としてTDL公式サイト上でも紹介されているサービスだ。利用をめぐる思いを投稿者に取材した。
「『好み』で嫌がるっていう普通の事になんかちょっと感動した」
話題となっているのは、7歳児の母でもあるXユーザー・ふぢ●ら(@torenchi)さんによる2025年10月20日の投稿だ。「先日行ったディズニーランドのレストランで、娘のお子様メニューをペースト食に加工していただいた」として、下記のように伝えた。
「経口で食べなくても胃瘻に注入できるしと思って。結果的にほぼ経口で食べてくれて、肉、魚は食べるけど野菜は食べないなどという『好み』で嫌がるっていう普通の事になんかちょっと感動した」
投稿された写真を見ると、ミッキーマウス型の皿に、色とりどりのペーストが盛り付けられたお椀が複数置かれている。投稿は1万件超の「いいね」を集め、「知らなかった ペースト加工をしてくれる店舗があるんだね」「お嬢さんが食事を楽しめて良かった」「私も嚥下障害になった時に調べてめちゃ嬉しかった」「ディズニーランドのホスピタリティはすごいなと思う」などと話題になっている。
TDL公式サイトを参照すると、「レトルト食品の湯煎」「電子レンジによるお弁当加熱」「ペースト加工」「きざみ加工」「低アレルゲンメニュー」に対応したレストランが両パークにあり、希望者はキャストに申し出るよう案内されている。なお、店で弁当などを食べることは食事に制限がある場合のみ許される。
「一緒に食事ができるかも」期待を胸に
投稿者のふぢ●らさんは24日にJ-CASTニュースの取材に応じ、娘は普段、3食とも胃ろうから栄養剤を注入していると説明した。ダウン症で、特別支援学校の小学部2年に通っているとも。胃ろうを造設したのは1歳9か月で、「口からはひとつの決まったもの以外は食べられなくて、家族で外食に行くのも難しい状態」だったという。
そんな折に、地域のダウン症親の会や、障害を持つ子の親のX投稿を通じて先のサービスを知り、「絶対に娘を連れていきたい!」「そこでなら一緒に食事ができるかもしれない」と胸を膨らませていた。
「実際にミキサー食を作ってみると本当に手間もかかるし洗い物も多いしで、とても面倒なのですが、そんなサービスをあんなに混んでいるディズニーリゾートで提供しているなんてびっくりします」
取り組みの珍しさは、ふぢ●らさんいわく、「『県名 ペースト食 レストラン』とかで検索しても全然ヒットしません」。病院以外で同様の体験をしたことはなく、保育園給食のミキサー食は全ての食材をひとつに混ぜる対応だったため「それぞれの料理を味わうという感じではなかった」としている。
現在、娘は口からも食べられるようになってきており、咀しゃく練習のために学校給食では「きざみ食」を頼んでいる。「でもまだ上手く食べられないので胃瘻から栄養を摂取しています」とのこと。
「思っていたより楽しんでいて...」娘の反応に母は安堵
今回の来園をめぐって、ふぢ●らさんは「実は先月、同居していたおばあちゃんが特養(編注:特別養護老人ホーム)に入居しまして、今回が親子初めての外泊旅行でした」と説明し、
「娘は重度知的障害のダウン症で胃瘻のある医療的ケア児という事もあり、ディズニーリゾートでどのようなサポートが受けられるのかを公式サイト等で事前に確認したのですが、想像していたよりも手厚いサポートサービスが整えられていてびっくりしました。
娘も場所見知りしたり、奇声を上げたりしてしまうのでライド系などは難しいかと思っていましたが、列に並ぶのが難しい人の為のサービスを利用して、別の場所で待たせていただいたおかげでリラックス出来たのか、思っていたより楽しんでいて安心しました」
と感想を伝えた。ペースト食は、もともと3割ほど食べて残りは胃ろうを想定していたというが、「ほぼ経口で食べてくれて...。美味しかったんだなあと思いました」と改めて振り返った。「娘とディズニーランドを楽しめて本当に良かったです。いい思い出になりました」といい、下記のようにも振り返った。
「障害を持つ子とのおでかけは、子供の拒否が強く出た時の対策とか、迷惑をかけるんじゃないかとか、自分の体力を考えて億劫になってしまう事もあるのですが、ディズニーランドをこんなに楽しめたのは大きな自信になりました。これからはもっと色んなところへ親子で遊びにでかけられたらいいなと思います」