福島・会津若松駅─新潟・小出駅を結ぶローカル線、JR只見線の線路上で2025年10月17日にクマが目撃され、Xでも広く話題になっている。
管轄するJR東日本は取材に対し、「ご迷惑をお掛けして誠に申し訳ございません」とわびた上で、野生動物の対策はさまざまな形で施しているとしながら「対策が必要な箇所が広範囲に及ぶことや、野生動物の個体数に左右される等の課題がある」などと説明した。
目撃者「警笛を気にしている様子は無かった」
Xユーザー・らくらくだ(@rakuraku323)さんが17日、線路上を歩くクマの姿を車内から捉えた写真を披露しながら「只見線乗ってるんだけど、線路に熊出てきて停車中」と伝えていた。クマが枕木の間から「ひょっこり」と顔を出している場面もあり、3万9000件超の「いいね」を集めた。
投稿者・らくらくださんは20日にJ-CASTニュースの取材に応じ、写真を撮影したのは14時ごろ、場所は会津桧原駅から会津西方駅へ向かう途中、只見川にかかる橋の手前だったと説明した。
当時の状況は「最初はトンネル内で電車が警笛を鳴らしながら減速し始めました」「どんどん速度を落としていくので、『前に何かいるのか?』となりまして、トンネルを抜けて明るくなったところで外を見てみると熊が線路上にいました」といい、
「その後も警笛をずっと鳴らしていたのですが、クマは写真の通りに枕木の下に潜ったり、出て来て線路上を歩いたりなどして特に警笛を気にしている様子は無かったように見えました」
と振り返った。他の乗客は混乱せず、落ち着いているようだったが、「熊が去った後に運転手さんから『熊が出現したため停車しました』とアナウンスが流れた後はちょっとざわつきましたが」という。
「列車との衝撃件数は年度により差はあるものの概ね増加傾向」
らくらくださんは、「熊のニュースは最近よく見かけていましたが、実際に自分が遭遇したことで他人事では無いのだなと実感しました。来週は京都の美山に行く予定だったのですが、ちょっと怖くなったので今回は市内の観光に切り替えようか悩んでいます」などと述べた。これまでも旅先でサルやシカなどの野生動物を目にすることはあったが、一目散に逃げだしていたため撮影できたことはほとんどないとしている。
クマ出現について、乗客の立場からは「このままぶつかって脱線していたり、車体が壊れてしまっていたら大事故ですので、いち早く発見して対応してくださった運転士さんに心から感謝しています。ありがとうございました!」とも伝えた。
一方、JR東日本の広報担当は24日にJ-CASTニュースの取材に応じ、線路上にクマがいたのは事実だとして「このたびは、ご利用のお客さまにご迷惑をお掛けして誠に申し訳ございません」とわびた。また、
「今回の事案だけでなく、弊社ではクマをはじめ鹿や猪等の野生動物との衝撃等による列車の運休や遅延を防ぐために、衝撃が多い箇所を中心に忌避剤の散布、侵入防止柵の設置、光や音を活用した忌避装置の設置等を行っておりますが、衝撃を完全に防ぐことはできておりません。対策が必要な箇所が広範囲に及ぶことや、野生動物の個体数に左右される等の課題があると受け止めています」
と現状を説明した。25年のクマ出現件数は把握していないが、「列車との衝撃件数は年度により差はあるものの概ね増加傾向にあります」。発生時期に特段の変化はないとみている。
クマが出たら...運転手はどんな対応?
出現時の対応に関しては、クマに特化した策はないとし、
「野生動物等との衝突を回避するために、停止や速度を落として運転し、汽笛等を扱い退避を促しています。また、他の列車に影響がないように必要に応じて他の列車を停止させる手配を行うことを基本としています」
とした。「クマに限らず、列車の遅れなどが発生した場合、お客さまのことを最優先に考え、早期運転再開などを取り組んでいます」といい、下記のようにも伝えている。
「弊社としましては引き続き、お客さまに安心してご利用いただけるように対策を継続してまいります」