政府備蓄米5キロを買って、家の中で2か月放置していたところ、黒い羽虫が大量に発生したと、Xで写真や動画が投稿され、関心を集めている。
未開封だったといい、投稿者は、「これって有り得るのでしょうか?」と驚いていた。コメの保存にどんな問題があったのか、農水省の備蓄米担当課にも話を聞いた。
「直射日光は避けてましたが 常温保存でした」
「8月下旬に買って、直ぐに開封しなかった自分も悪いのですけど......」
投稿者の「ぽちたま」さん(@Mo20ZupFZz3Gjtd)は2025年10月28日、Xでこう切り出し、ビニール袋内に黒い粒々がたくさん見える備蓄米の写真をアップした。
5キロ分は、この日まで自宅に置いていたといい、「たくさん黒い羽虫が発生した」と報告した。未開封のため、元々のコメに羽虫の卵が混入していたのではないかと推測し、困惑していると明かした。
この投稿は、1万件以上の「いいね」が寄せられ、まとめサイトも取り上げるなどして写真が拡散している。
コメ袋を見ると、25年7月下旬の精米と表示されている。黒い羽虫は、調べてみると、成虫して小さな蛾になったノシメマダラメイガと分かったという。
ぽちたまさんは、「直射日光は避けてましたが 常温保存でした」と明かし、コメは低温保存しないといけないのではないかと聞かれ、「失敗しました」と漏らした。ビニール袋に入れられ未開封だったことを過信してしまったという。
ぽちたまさんのXでは、袋の中で動く黒い羽虫の様子を撮った動画も投稿している。「自分に非が有ると思う」とし、肥料にするなどしたいとしながらも、情報提供も兼ねて購入したスーパーにも相談したいと明かした。
ぽちたまさんは29日、J-CASTニュースの取材に応じ、直射日光が当たらない畳部屋に備蓄米を保管していたものの、「今年は猛暑日が続いたので、高温多湿の環境が整ってしまったと思われます」と答えた。長く保存する時は冷蔵庫に入れる必要性は聞いたかもしれないものの、米の取り扱い知識について失念していたと説明した。
「冷暗所で品質の劣化を防いでおり、虫は湧かない」
ぽちたまさんが、備蓄米を購入したスーパーに電話したところ、交換に応じられると伝えられ、サービスカウンターを通じて返品・交換してもらったという。その際に、「今度は出来るだけ早く食べて下さい」との説明を受けたといい、スーパーの対応には感謝していた。
備蓄米を担当する農水省の貿易業務課は10月29日、取材に対し、15度以下の倉庫で湿度を60~65%にキープして保管しているとして、こう説明した。
「今年は、21、22年産の古いお米を提供しましたが、品質をチェックしたうえで販売しています。冷暗所で品質の劣化を防いでおり、虫が湧きやすいということはありません」
最も考えられることは、モミの上から成虫が米粒に卵を産み付けた可能性があるという。精米のときなども、目視では卵を確認できないとした。コメを入れるビニール袋には、空気穴がいくつか開けられているが、そこから幼虫が入るなどする可能性もあるかもしれないとしている。
「備蓄米に限らず、普通のお米でも、常温で2か月保管すれば、虫が湧く恐れがあります。今年は、夏場が暑かったですが、常温で2か月ぐらい放置したら虫が湧いたといった話も、数件聞いています。正しい保存法をご存じない方が多く、コメが高騰して、2~3か月分買いためる方も多かったようです。20度以上になりますと、卵が孵化してしまいますので、冷たいところで保管することを推奨しています。冷蔵庫に保管すれば、発生の確率が低くなります」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)