「未経験職種」に挑む難しさを乗り越えるには
Aさんは施工管理として建築関連の仕事をしており、資格も保有していました。そのため、転職先でも全くの未経験の仕事をするわけではありませんでした。しかし、それでも「30代で新しい職種に挑戦する転職は、簡単ではない」とAさんは実感したといいます。
当然、企業側も、転職者のポテンシャルだけでなく、即戦力としてのスキルを求める傾向があるため、未経験分野へのキャリアチェンジで転職者を受け入れることには準備が必要になります。
そうした事情があるからこそ、Aさんは「このタイミングが設計の仕事に就ける最後のチャンスかもしれない」と感じ、多少無理をしてでもチャレンジ。無事に内定を獲得し、未経験職種となる「設計」の仕事にかかわることができ、年収も前職からキープとなりました。Aさんにとっては何物にも代えがたい「やりたかった仕事」を手に入れた瞬間でした。
Aさんは、キャリアチェンジを迷っている人に向けて「実際に転職するかしないかは置いておいて、まずは転職活動をしてみることをお勧めしたいです」と話します。
「転職」という言葉には重みがありますが、「転職活動」は、自分の市場価値を知り、これまで培ってきたスキルや経験が他社でどのように通用するのか、どんな選択肢があるのかを知る自己理解のプロセスにもなります。
最初から明確な目標を持って転職活動に臨む人は少ないかもしれませんが、「少しでも気になるなら、始めてみる」ことが重要です。
・まずはどこか一社にエントリーシートだけでも出してみる。
・自分の経歴書をブラッシュアップし、キャリアの棚卸しをしてみる。
このような小さな一歩踏み出すことで、少しずつ自分のことが分かり、それが自信となり、納得のいくキャリア選択につながっていくでしょう。転職だけでなく、社内での異動について考えたり、興味のあることに副業から始めてみたりすることもできます。
【プロフィール】
キャリアアドバイザー 進藤聡/商業施設の施設管理で販促担当の経験を積み、2022年にリクルートに入社。キャリアアドバイザーとして、さまざまな業界・職種の求職者の転職を支援。転職する・しないかかわらず、転職活動を通して今後のキャリアに向き合う機会にしていただけるようサポートしている。