一時は品薄状態が続き、社会現象にまでなった機能性表示食品の乳酸菌飲料「ヤクルト1000」シリーズが転機を迎えている。
ヤクルト本社の2025年3月期決算は、営業利益が前期比12%減の553億円と減益となった。売上高は4996億円とほぼ横ばいだったが、主力の国内飲料・食品セグメントの営業利益は同24.4%減の374億円と大きく落ち込んだ。
背景には、ブームの一巡に加え、日清ヨークなど競合他社の類似商品の登場、さらには中国市場での販売不振という「三重苦」があった。
新工場稼働直後にブーム失速、販売計画を未達
21年に全国発売されたヤクルト1000には、店頭専用商品の「Y1000」と宅配専用商品の「Yakult1000」があり、「睡眠の質向上」や「ストレスの緩和」をうたう機能性表示食品として登場。マーケティング戦略の成功やテレビ番組での紹介をきっかけに爆発的にヒットした。22年には、供給が追いつかず宅配の新規申込みを休止するほどの人気ぶりを見せた。
これを受け24年度の宅配専用商品の販売計画は前期比6%増の1日あたり230万本、店頭専用商品は同27%増の130万本に設定されたが、結果はそれぞれ196万本、105万本と計画未達となった。供給不足解消のために設立された静岡県の富士小山工場が24年1月からフル稼働した直後に、ブームがひと段落してしまった。