2025年11月4日放送の情報番組「ノンストップ!」(フジテレビ系)に脳梗塞から復帰した歌手のあべ静江さん(73)が登場した。「戻れたっていううれしさがこみ上げてきましたね。もしかしたら、これが歌うことの最後になるかもしれないという思いをひそかに沈めながら歌っています」と話した。
見ていたスタッフが異常を感じて救急搬送
あべさんは1973年にデビュー。「お元気ですか」という語りかけから始まる「みずいろの恋」が大ヒット。その後もドラマやバラエティ番組などで活躍していた。2022年、あべさんが70歳の時に多発性脳梗塞を発症した。「自覚症状は感じなかった」と話すが、メイクをしていて普通はシャドーで使うようなブラウンを顔全体につけたりしていたという。それを見ていたスタッフが異常を感じ、あべさんを救急搬送、即入院となった。
医師からは「どこまで回復するかわからない」と告げられながらも2か月で退院、懸命のリハビリと持ち前の前向き思考でステージに復帰した。
「マイナスに考えることもプラスに考えることも一つの事件でどっちもできると思う。だけどなるべくプラス思考に持っていった方が、自分が少しでも笑顔になれるように持っていった方がお得だもん」とあべさんは笑いながら言う。
「ドーンと沈んだら沈んだ目線の先ってあまりいいものが見つからないような気がする。それよりやっぱり上に向かって進んでいった方が絶対お得」とも話し、自身を鼓舞しながら闘病した日々を振り返った。
ポジティブ思考で再起、歌える喜びがあふれる
番組は復帰後のあべさんに密着、インタビューを交えてステージ活動を追う。
楽屋でうろうろしているあべさんにスタッフが「何をしているんですか」と聞くと、「様子を見ているんです。会場によって音のバランスとかはね返り方が違ってくるのでそれに少しでも慣れておくことがポイント」と答える。ステージでは「みずいろの恋」や「コーヒーショップで」を透き通るような歌声で披露、歌える喜びがあふれていた。
VTRを見た火曜日レギュラー陣も感心しきり。タレントの横澤夏子さんは「お得というのが刺さりますね」とあべさんのポジティブ思考をほめたたえる。お笑いコンビ錦鯉の渡辺隆さんは「素晴らしいですね。こういう風に年齢を重ねていきたい」とあべさんの生き方に共感していた。
あべさんにとってステージと観客の拍手は、まさにポジティブ思考の源泉と言えるのだろう。
(ジャーナリスト 佐藤太郎)