山でのクマよけに「蚊取り線香」が効く──?
各地でクマの目撃情報が相次ぐ中、このような説がXで広く注目されている。クマ対策にも取り組む秋田県生活環境部・自然保護課の鳥獣保護管理チームは取材に、「煙等により人の存在に気づいてもらう効果は一定程度ある」と見解を示した。
「風向きによっては効果が期待できない」
Xでは有効性をめぐり、「これ本当?」「蚊取り線香が効くとはビックリです」「匂いには敏感だと思うのですが...」「山火事をイメージするんだと思います」「ぶら下げるタイプのやつをザックとかにつけたらいいのかな」「音鳴らしながら、蚊取り線香も炊いたらいいじゃん」などとさまざまな声が上がっている。
実際に蚊取り線香はクマよけに効果があるのか、例えば唐辛子成分の有無など、選び方のポイントはどうか。秋田県生活環境部の自然保護課・鳥獣保護管理チームは2025年11月4日にJ-CASTニュースの取材に応じ、
「煙等により人の存在に気づいてもらう効果は一定程度あると思いますが、成分等について当課では承知していませんので、選び方のポイントについてはお答えできかねます」
と答えた。なお、使用時は火気の取り扱いに十分注意する必要があるとした。
Xでは蚊取り線香が期待された一方、音を使う対策はクマが慣れて効果がないとする見方も出ていた。しかし鳥獣保護管理チームは、蚊取り線香は「風向きによっては効果が期待できない」ので「音をだすという基本の対策が必要」と指摘している。
「基本の対策を徹底して」クリ、柿の収穫も早急に
秋田県公式サイト「美の国あきたネット」のよくある質問には、「最近のクマは鈴やラジオの音に寄ってくると聞きます。音を鳴らすことでかえって事故につながるのではないですか」という項目がある。ここでも、「音を鳴らして人の存在をアピールし、クマに気付いてもらうことは、事故対策において基本中の基本です」と強調していた。
サイト上の説明によると、クマは基本的に人と至近距離で会わないようにしており、音などで気配を感じると距離をとる。接近に気付かないまま鉢合わせた場合、「自分自身の防衛目的」で咄嗟に人を攻撃するという。人身事故の調査結果をふまえ、「人が静かに行動しているときにクマと鉢合わせをした結果、事故に発展したパターンが大半」「鈴やラジオで賑やかにしていてクマに襲われた事例はほぼありません」としている。
ただし、「現在入山が禁止されている地域に関しては、鈴やラジオの音に積極的に接近してくるクマ(特定の個体)が確認されています」とも。入山禁止地域には絶対立ち入らないよう呼びかけている。
クマが蚊取り線香にも慣れてしまう可能性はどうか。鳥獣保護管理チームは「蚊取り線香の有効性については、あくまで人の存在に気づいてもらうためのものであると考えています」とコメントしている。
クマをめぐっては「基本の対策を徹底していただくほか、収穫しないクリ、柿が誘因となるので早急に収穫していただくか、収穫しない場合は伐採をお願いします」と呼びかけ、渋柿も食べると説明した。