「お母さんの預金減ってるぞ!」認知症の親の財産管理で兄弟が泥沼裁判に発展...善意が招いた修羅場の落とし穴

背景にあった「法的な手続きの欠如」

   このケースの根本的な原因は、家族間の信頼ではなく「手続きの不備」にある。母親が認知症を発症した時点で、本人の意思に基づく、契約や金銭管理の雲行きが怪しかった。本来であれば、家庭裁判所を通じて「成年後見人」を選任して、法的に管理を行うべき段階であった。

   成年後見制度を利用すれば、後見人が家庭裁判所の監督を受けながら、預金や支出を正しく記録して、透明性を保つことができる。しかし、制度の手間や費用を理由に避けた結果、長男のAさんのように「善意の管理」が「不正な引き出し」として、疑われることがある。家族の信頼だけに頼った管理では、法的な証拠が残らないため、後々の相続で揉めるリスクが高くなるのだ。

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