「スーツ離れ」なのになぜ? 紳士服業界の青山、AOKIは堅調な業績...両社を支える「もうひとつの顔」

リアル店舗のノウハウを武器に、着実に事業領域を拡大

   スーツ市場の縮小は避けられないが、両社は早くからこの変化を見据えて対策を講じてきた。青山商事は中期経営計画で「事業ポートフォリオ経営の推進」を掲げ、既存事業への投資拡大と新規事業の開発を進めている。AOKIHDも中期経営計画「RISING 2026」で、各事業の成長戦略を明確化している。

   両社はビジネスウェア事業においても、単なる既製スーツの販売からの脱却を図っている。オーダースーツやビジネスカジュアル、レディース商品の拡充など、多様化する働き方に対応した商品展開を進めることで、スーツ離れの影響を最小限に抑えようとしてきた。しかし、思い切った戦略方針転換の背景には、それだけでは生き残りは難しいとの判断があるのだろう。

   両社の事例は、環境変化に応じて事業構造を柔軟に変革することで、持続的な成長が可能であることを示している。両社はしたたかな経営戦略により、今後もしぶとく生き残っていくだろう。

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