2025年も残り1か月余り。テレビでは年末年始特番の前宣伝が始まり、NHKの歌番組「うたコン」も「放送100年プレイバック紅白スペシャル」を2025年11月18日に放送した。「大阪に謝りに行ったんですよ。2度ともめるのは嫌です」登場したのは、1994年の第45回から3回連続でNHK紅白歌合戦白組司会を担当した古舘伊知郎さん(フリーアナウンサー)。「うたコン」司会の谷原章介さんが「紅白の司会というのはほかの番組と違いますか?」と聞くと、「まったく違いますね。ある種、地獄です」という。どういうことか。「だって、主役たる歌い手さん、主役たる視聴者の方につないでいくっていうときに、時間を読まないと......。トリと大トリの時間が途中で終わるなんていう悪夢は許されないし」と、紅白は秒刻みで進行していて、テレビ朝日などアナウンサー歴の長いベテランでも緊張しまくりだったらしい。古舘さんらしいアドリブを入れながらも、「最後は『蛍の光』をみんなで歌って、カメラがドン引きでステージから客席を映して、トントントンの間があって終わって、ドーン! 11時45分に『ゆく年くる年』ですから。時間を読むのがぼくと上沼さん(恵美子=紅組司会)、地獄のように。1曲終わるたびに、『どうするか、どうするか』って」苦労していたという。その上沼さんとの軽妙な掛け合いは、「東西舌戦」と見どころの一つだったが、互いに対抗心もあって、芸能マスコミに犬猿の仲と書かれた。古舘さんはそこも「一時、仲悪かったですよ、本当に」と正直に明かした。「上沼さんとずっと会っていなかったし。だから、2年前に上沼さんのユーチューブ(番組)で大阪に謝りに行ったんですよ。それから仲良くなりました。2度ともめるのは嫌です」とゲストの石川さゆりさん、坂本冬美さんを笑わせた。「プレイバック紅白」の1曲は、細川たかしの「津軽じょんがら」谷原さんから「とくに印象に残っている『プレイバック紅白』の1曲」を聞かれると、古舘さんは細川たかしさんの「津軽じょんがら」をあげた。「2年目の司会の(ときの)大トリだったんですけど、この年、阪神・淡路大震災がありました。地下鉄サリンもありました。そういう意味では、この大トリで、みなさん、噛みしめながら次の年にいきましょうという思いを込めてやらせていただいた記憶があります」と語った。(シニアエディター 関口一喜)