朝8時オリジナル企画で独走TBS「ラヴィット!」 クイズ・パロディドラマ・即興漫才...あらゆる創造性が集う

   TBS系で放送する「ラヴィット!」は、クイズ、歌、ゲーム、ドラマパロディ、即興漫才が混在する「総合バラエティ」と化している。テレビ番組が「視聴率を確実に取れる企画ばかり」になる中、複数ジャンルの企画を同時進行するのは極めて希少だ。

  • TBS社屋
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  • 「ラヴィット!」のX(@tbs_loveit)より
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総合バラエティの創造性を再現する「ラヴィット!」

   同番組では、「クイズミリオネア」とビリビリ椅子を融合させた「クイズ! ビリビリオネア」、誕生日を迎えた出演者を祝う「歌唱リクエスト」、名曲のサビを数字「1、2、3......」で歌い、ピッタリ20で終わらせるゲーム「名曲は20選手権」、直前まで相方がわからず即興漫才を行う「出会い頭-1グランプリ」、「踊る大捜査線」をパロディしたグルメロケ企画「チャーハン大捜査線」などが放送され、企画の豊富さは業界随一である。

   そんな番組の売りは、「クイズ! ビリビリオネア」などで使用される「ビリビリ椅子」だ。これまでありがちなビンタ、ハリセンなど視覚的に痛そうな罰ゲームはコンプライアンス面から消滅し、出演者にしかわからない「見えない痛み」へと変化した。視聴者は推測するしかなく、出演者の「本物の反応」が加わることで、規制を回避しながら最強の罰ゲームとして機能する。

   乃木坂46の弓木奈於さんは2023年10月、ビリビリ椅子直後にジャングルポケットの太田博久さんに「マジで、やばいから!」と絶叫。体験者の本音が電流の痛さを物語り、この言葉はTシャツ化されるなど話題を集めた。

   同2023年7月、櫻坂46の守屋麗奈さんは電流を回避するために「(お尻を)浮かせるのが早すぎました」という迷言で愛されるキャラとして人気に。今年5月に初出演した女子プロレスラー・上谷沙弥選手も、太腿の部分は地肌が見えているため、「布がここにないんで直(じか)に来た」と笑いを誘い、シーズンレギュラーを決めるなど新たなファン層を獲得している。

どんな企画がおこなわれるか分からないワクワク感

   いま、テレビ業界は「クイズだけ」「グルメだけ」という単機能番組が全盛だ。それは確実に数字が取れる企画を狙っているからだ。その中にあって「ラヴィット!」は実験的な企画もあり、創造性が許容されているので、その日どんな企画がおこなわれるか分からないワクワク感がある。

   つまり、ゴールデンタイムの番組にかつてあった本気のクリエイティブが残された数少ない場であり、さらにはゴールデンの役割を朝の帯番組が代替しているという、極めて異例の現象が起きているのである。萎縮する業界の中で、テレビが失った総合バラエティの創造性を再現する「復興プロジェクト」が、今日も行われている。

(川瀬孝雄)

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