「捜査中だから」と答えない斎藤元彦知事と田久保真紀氏 法的には話せるのに説明責任果たさないだけでは

「法的責任」と「説明責任」をあえて混同させるテンプレ話法

   ちなみに刑事訴訟法上、捜査機関が発言を禁じる法的権限はない。つまり、説明を避けるのは本人の政治的判断である。

   それにもかかわらず、政治家はこの言葉を盾にして「語らない自由」を義務のように語ることで、「語れない」というように見せて、説明拒否を正当化していることになる。

   この「法的責任」と「説明責任」をあえて混同させているところが問題なのだ。

   「法的責任」は、捜査や裁判など司法の領域で問われるもの。「説明責任」は、政治家が有権者に対して自らの行動を明らかにし、信頼を回復するための倫理的義務である。

   田久保氏、斎藤知事のいずれも、会見で問われているのは「説明責任」だ。「差し控える」や「礼節」という表現で、説明を避ければ、疑惑はむしろ深まり、信頼はさらに損なわれる。

   説明とは追及を避ける作業ではなく、信頼を取り戻す行為である。こうしたテンプレ回答が常態化すれば、政治家と市民の信頼関係は完全に断たれてしまうだろう。

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