大阪府泉佐野市内の関西空港で、中国人観光客の20代男性が道路脇に座り、そこから転落する様子が映ったとされる動画が中国メディアに取り上げられ、波紋が広がっている。日中関係が悪化しているだけに、中国のネット上では、「日本へ行くのは危険」などといった根拠のない情報も出回っている。どんな状況だったのか、大阪府警に取材して話を聞いた。「この時期に日本に行くなんて!」中国のネット上に出回っている動画や画像によると、リュックを背負ったこの男性は、高架になっている道路脇のガードレールのような壁の上に座っていた。今度は、壁に両手をかけてぶら下がった状態になり、2人の男性警察官がそれぞれの手を両手で押さえている。しかし、次の瞬間に、男性は転落し、「ア~~!」という叫び声が響いた。男性は、高架下の道路上に叩き付けられて倒れているとされる様子も撮影されていた。中国メディアは2025年11月25日、この動画や画像を取り上げ、日本の報道を紹介した。日本のテレビ各局のニュースによると、この日14時30分ごろ、関西空港第一ターミナルビルの4階で「壁に座って落ちそうな男性がいる」などと目撃者から110番通報が入った。警察が駆け付けると、男性は両手でぶら下がる状態になり、警察官が男性を引き戻そうとしたが、1階に転落した。男性は、病院に運ばれたが、死亡が確認された。男性は、母親と日本へ旅行に来ていたという。中国のネット上では、現場で撮られたとされる動画や画像に大きな関心が集まり、ニュースのコメント欄に意見が次々に書き込まれている。中国政府が日本渡航の自粛を呼びかけていることから、「この時期に日本に行くなんて!」「どうして忠告を聞かないんだ...?」といった指摘が出て、「当然の報いだ!」などと非難する声すらあった。また、「日本へ行くのは危険」「自殺とは思えない」などの憶測が流れ、中には、警察官は中国語の声が聞こえたためすぐに手を離した、という根拠のない勝手な見方も一部でみられた。「男性が壁から手を離したために転落」その一方、中国ネット上では、「『この時期に日本に行くべきではない』といったレッテルを貼ったりすべきではありません」「日本の警察官がかわいそうだ。精神的なケアが必要ではないか」などと冷静に捉えようとする声も出ていた。大阪府警の関西空港署は11月26日、救助活動の状況について、J-CASTニュースの取材にこう説明した。「パトカーで現場へ行ったときは、男性は、壁の上に座っていました。そして、男性は、パトカーを見て、自分から壁にぶら下がりました。警察官は、パトカーから降りて、男性の腕をつかみました。しかし、服のところから滑ってしまい、男性が壁から手を離したために転落しました。自殺かどうかは断定できません。お亡くなりになったので、動機などは不明です」警察官が現場に到着して、すぐに転落してしまったため、路上にマットを置くなどの対応もできなかったとした。4階には、国際線の出発フロアがあり、転落した男性は、母親と直前まで一緒にいたという。帰りの便に乗る予定だったとみられるとしている。(J-CASTニュース編集部 野口博之)
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