依然として続く首都圏への人口集中
しかし、これを底にして、経済活動の再開後、混雑率は上昇に転じる。根本的な原因は依然として首都圏への人口集中が続いていることだろう。働き方改革やオフピーク通勤の促進にもかかわらず、郊外から都心への通勤需要は高いままだ。
さらに、テレワークの縮小の影響もみられる。公益財団法人・日本生産性本部は2025年7月、「テレワーク実施率は16.8%」と公表した。この調査の対象は20歳以上の1100人。コロナ禍が始まった2020年には31.5%、およそ3人に1人の割合を記録したのに比べ、半減している。チームの信頼関係や新人教育に「対面が有効」と考える企業が増え、出社推奨につながっている。
大和総研も2025年7月、「世界的に見ても日本のテレワーク利用率は低く、特に女性の低さが目立つ」とするレポートを出した。今後は、テレワークと出社を組み合わせた「ハイブリッド型」が定着すると予測する。快適な通勤がどの路線でも実現し、朝の苦行が過去のものとなる日はなお遠そうだ。
(ジャーナリスト 橋本聡)