「今の環境は恵まれている」それでも消えない不安 「短期集中」転職活動でつかんだ想定外のキャリア【専門家が解説】

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お見送り続きの苦境を救った「ルーティン化」と「覚悟」

   もちろん、短期集中とはいえ、すべてが順風満帆に進んだわけではありません。Aさんも途中、8回連続で面接がお見送り(不採用)になるという厳しい現実に直面しました。

   自分が否定されたような気持ちになり、心が折れそうになる瞬間。これは誰にとっても辛いものです。しかし、Aさんはそこで立ち止まらず、行動を「ルーティン化」していきました。

「キャリアアドバイザーから送られてくる求人を、通勤電車の中でチェックしてエントリーする。会社に到着したら、現職の仕事に頭を完全に切り替える」

   このように、生活の中に転職活動を「作業」として組み込むことで、一喜一憂するエネルギーの消耗を防いだのです。これは非常に有効なメンタルコントロール術です。不採用通知が来ても、それは「ご縁がなかっただけ」と捉え、淡々と次の「タスク」をこなす。この冷静さが、活動を継続する力になります。

   そして、Aさんにはもう1つ、大きなターニングポイントがありました。有給休暇を使って面接に行く回数が増え、現職の同僚たちに業務のしわ寄せがいってしまうことへの「申し訳なさ」です。周囲が良い人たちだからこそ、その罪悪感は募ります。そこでAさんは決断しました。

「この会社でいったん最後にして、ここが駄目だったら、しばらく転職活動は休憩しよう」

   期限を決め、覚悟を決めたことで、面接への取り組み方が変わりました。これが最後だという思いが、入念な面接対策や企業研究への熱量に変わり、結果としてその「最後の1社」から内定を勝ち取ることができたのです。

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