静岡県伊東市の市長選に立候補した田久保真紀前市長は、告示日の2025年12月7日に市内で第一声の街頭演説を行った。田久保氏はメガソーラー計画の完全白紙撤回を訴え、「自分に課せられた運命、使命からは逃げてはいけない」と決意を語った。
これまでの市の対応に疑問「一体何を守っているんでしょう」
演説では主に、以前からも訴えているメガソーラー計画の完全白紙撤回を再度訴えた。田久保氏は、メガソーラーの事業者が市に対して起こした河川占用不許可をめぐる裁判の経緯などを話し、小野達也元市長が同事業者と、市が裁判に負けた場合の対応について取り決めたという「確約書」をはじめとした対応について批判した。
市長在職時の8月8日に田久保氏は、「伊豆高原メガソーラー問題も新図書館建設計画も水面下で激しく動いている」という発言について「水面下という言葉が市民のみなさまの不安や疑念を招く恐れがあるのではないか、といった趣旨の指摘が政策会議の場でございました」として撤回すると発表していた。
これについても田久保氏は、市から発言を撤回するよう言われたとして、「一体何を守っているんでしょう」と疑問を呈した。
田久保氏は演説で、「私だって普通の生活したいですよ。普通の生活がしたい」と訴え、「(市長を)やめて1回静かの生活に戻った時、『あれ、日常ってなんて静かなんだろう』って、そう思いました。だけども、まだやらなければいけないことがある。私にしかできないことがあるなら、どんなにつらくても、どんなに大変な道のりでも、自分に課せられた運命、使命からは逃げてはいけない」と決意を語った。涙を見せる場面もあった。
一方、2度の不信任決議の原因となった学歴詐称疑惑問題については、演説のなかで触れることはなかった。
演説会場には支援者が訪れ、演説には拍手が鳴った一方、「噓つき」などのプラカードを掲げる反対派も現れた。
なお、伊東市は10月27日にも公式サイトで、伊豆高原メガソーラー計画について「関係法令の許可が必要となりますが、事業者は開発に必要なすべての許可を取得している状況ではないため、現状、工事の進捗は見られません。また、近年、事業者からの連絡もございません」と状況を伝えている。
田久保氏の失職を受けて行われる伊東市長選は12月14日に投開票される。田久保氏のほか、元市長の小野達也氏、杉本憲也氏、利岡正基氏、石島明美氏、岩渕完二氏、黒坪則之氏、大野恭弘氏、鈴木奈々子氏の計9人が届け出ている。