「画材の会社が...」商品ポスターに生成AI使用 サクラクレパスが謝罪「再発防止に向けてチェック体制を強化」

   文具メーカー大手「サクラクレパス」(大阪市)の商品をPRするポスターについて、生成AIで作成したイラストなのではないかとX上で指摘され、波紋が広がっている。

   このポスターについて、同社は2025年12月11日、公式サイトでお知らせを出し、グループ会社傘下の販売子会社が生成AIを使って制作したとして、「このたびの事案によりご不快な思いをおかけしました」と謝罪した。

  • AI疑惑を指摘したX投稿
    AI疑惑を指摘したX投稿
  • イラストに描かれた商品の1つ(プレスリリースから)
    イラストに描かれた商品の1つ(プレスリリースから)
  • AI疑惑を指摘したX投稿
  • イラストに描かれた商品の1つ(プレスリリースから)

少女の左手に指が4本しかなかったり...

   このポスターは、スペインで12月5~8日に開かれたイベント「マンガ・バルセロナ」で掲示されていた。

   セーラー服姿の少女が、サクラクレパスの商品を両手に持って笑顔になっており、同社のロゴがその上に大小2つ出ていた。

   ポスターについて、現地の漫画ファンが6日、イベントで撮った写真を投稿し、「画材の会社が AIでポスターを作ってるなんて」とスペイン語で指摘した。この投稿は、大きな反響を呼び、日本でも関心が広がった。

   投稿者によると、少女の左手に指が4本しかなかったり、右手に持った商品のペンが大きすぎたり、一見してAIぽかったという。そのうえで、同社には、この件について対処してほしいと要望した。

   サクラクレパスの公式Xにも、情報が寄せられ、8日になって、「本日社内で共有の上、現在詳細な確認をしております」などと報告された。

   その後、同社は9日、「該当販促物についての正式見解」と題する第一報を公式サイトのお知らせに出した。

   そこでは、「関係者情報共有の上、事実確認をしているところでございます」としながらも、社内調査を行っている現時点で判明したことを明らかにした。

   ポスターで使われたイラストについて、小さい方のグレー色のロゴが同社の表示規定に違反しているとまず指摘した。次に、イラストに描かれた水性サインペン「ピグマ」の海外モデル「PIGMA MICRON」などについて、実際のデザインと違うことを確認したとした。

「デザインチェックが、十分ではありませんでした」

   サクラクレパスでは、これらの違反点などを重く受け止め、「当該販促物の使用を直ちに停止するよう要請し、該当物の撤去などの対応を速やかに実施いたします」と明らかにした。

   ポスターの制作や発注に関わったのはグループ会社だとして、「在事実確認を行っており、精査の上、必要な措置を講じてまいります」と述べた。調査結果や再発防止策については、改めて公表するとし、「多くの方々にご不快をおかけし、またご不信を招く結果となりましたことを、心よりお詫び申しあげます」と謝罪した。

   その後、同社では、12月11日になって、「当該販促物に関する事実確認の結果」と題する第二報を出した。

   そこでは、グループ会社の傘下にある販売子会社がポスターを出していたとして、調査結果を明らかにした。「当該販促物のイラストは、当該販売子会社にて生成AIを用いて制作されたものであることを確認いたしました」と認め、「ロゴや商品の表記に関しても、グループ会社内におけるデザインチェックのプロセスが、十分ではありませんでした」と報告した。

   そのうえで、「改めまして、このたびの事案によりご不快な思いをおかけしましたことを、心よりお詫び申しあげます。今後、グループ全体で再発防止に向けてチェック体制を強化してまいります」と謝罪した。

   (J-CASTニュース編集部 野口博之)

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