中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射問題で日中間の緊張関係が増す中で、さらに不安な現象が起きている。2025年12月12日の情報番組「サン!シャイン」(フジテレビ系)は9日に中国とロシアの爆撃機が東シナ海から四国沖にかけて共同飛行を行ったことを取り上げた。
核兵器を使って日本の領土を破壊する演習?
小泉進次郎防衛相はXに「南西航空方面隊等から戦闘機をスクランブル発進させ対領空侵犯措置を厳正に実施しました」と投稿した。キヤノングローバル戦略研究所上席研究員の峯村健司さんは「中国の『戦略演習』というもので相手国のインフラや国土を破壊する意味を持つ。(爆撃機が)飛んだところが九州、沖縄、四国周辺まで行っている。ということは、今回、核兵器を使って日本の領土を破壊するという演習で、かなり緊張度があがっているということになる」と中国側のエスカレートする動きに警鐘を鳴らした。
MCの谷原章介さんは「このような演習は今まで行われていなかったのか」と問うと、峯村さんは「単独で爆撃機が飛ぶなどのことはあったが、ここまで日本に近づいた演習はない」と答えた。さらに谷原さんは「このような演習は国際法上違反ではない?」と聞いた。「違反ではない。ないですが、中国は口先では『特定の国を対象にしていない』と言っているが、飛行ルートを見ても日本に対するプレッシャーだ」と峯村さんは断言した。
1時間の飛行で約600万円
もう一つの問題がスクランブル発進の数である。日本の領空侵犯のおそれのある航空機を発見した場合、戦闘機などを緊急に出動させ必要に応じて行動の監視・退去警告などを行うが、昨年度のスクランブル回数が704回ありその9割が中国とロシアに対するものだという。米政府の発表によると1時間の飛行で約600万円かかるという。峯村さんは「相手に経済的な負担を強いるコストインポージングも中国の狙いだ」と指摘した。谷原さんが「中国とロシアの共同飛行の数は増えるのでしょうか」と聞くと、峯村さんは「今のところ高止まりしている。いっぱいいっぱいのところまで来ているが、現場の航空自衛隊の負担はものすごいあると思う」と軍事面、経済面でのプレッシャーに懸念を示した。
(ジャーナリスト 佐藤太郎)