ベネズエラの野党指導者マリア・マチャド氏のノーベル平和賞受賞に、2人の日本のジャーナリストが首を傾げた。マチャド氏はマドゥロ政権の独裁に対抗して弾圧され、国内に潜伏していたが、密かに脱出して、平和賞の授賞式が行われたノルウエーのオスロに到着、メダル授与には間に合わなかったが、記者会見で「最後まで戦う」と語り、集まった支持者たちの歓声を浴びた。イスラエルのガザ攻撃を「称賛している」平和賞は「ベネズエラを独裁政権から民主主義への公平かつ平和的な移行を達成するための闘争に対して」贈られたのだが、米国トランプ大統領のバックアップを受けていて、「ニューヨーク・タイムズ」などは「平和賞に値するか」と批判している。2025年12月11日放送の「大下容子ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系)の木曜コメンテーター柳澤秀夫氏(ジャーナリスト)は、「10月に授与が決まった直後に、マチャド氏とイスラエルのネタニヤフ首相は電話で話をして、イスラエル側の発表によると、マチャド氏はネタニヤフ首相がガザ攻撃をしたことを称賛したというんです」と説明した。マチャド氏を弾圧しているマドゥロ政権の後ろ盾になっているのがイランで、そのイランの支援で活動しているハマスの拠点がガザなので、ガザ攻撃を支持しているのだという。柳澤氏は「そうしたことを考えると、今回のマチャド氏を巡る平和賞というのは、ちょっと複雑な思いで受け止めざるを得ないなという気がします」と疑問視した。反米政権を倒したいトランプ大統領の思惑もう1人は「報道ステーション」(テレビ朝日系)の大越健介キャスター。やはり、マチャド氏への授与には政治的な思惑が絡んでいるとみるからだ。大越氏は「ノーベル平和賞というのは、時の政治と切っても切れない縁があります。今回は民主主義の旗を掲げるマチャド氏を、強権的な行動も辞さないトランプ氏が支持をするという複雑な構図になっています。(マチャド氏)受賞が文句なしのものになっているかどうか、その見極めはもう少し時間が必要かもしれません」と指摘した。ちなみに、アメリカ政治に詳しい上智大の前嶋和弘教授は、報ステの取材に「トランプ大統領は、カリブ海沿岸の"反米政権"の筆頭であるマドゥロ政権を倒して、後釜にマチャド氏を据えて親米政権を樹立させたいという思惑があるのでは」と解説している。(シニアエディター関口一喜)
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