人種差別的なジェスチャーのように見える写真がSNS上で拡散され、問題視された2025年の「ミス・フィンランド」サラ・ザフチェ氏について、コンテストを主催するミス・フィンランド協会側が12月11日をもって称号をはく奪すると発表した。
「コンテストの価値観に完全に反しています」
サラ氏は9月に「ミス・フィンランド」に選ばれ、11月開催のミス・ユニバース世界大会にも出場した。SNS上では、サラ氏が目を細めるように指で引っ張りながら笑う姿とともに、字幕で「中華料理」と書かれた写真が拡散。アジア人を揶揄する「つり目」のジェスチャーではないかとして批判を集めた。
サラ氏に取材したというフィンランドの大衆紙「Ilta-Sanomat」は12月1日のウェブ記事で、頭痛でこめかみ周辺をもんでいたものと報じた。8日にはサラ氏がインスタで「決して私の意図したものではありませんでした」などと謝罪し、10日にはミス・フィンランド公式インスタが、人種差別や差別的行為を一切容認しないと表明していた。
この公式インスタは11日、コンテストは1931年から開催されているとし、称号は「尊敬、平等、責任、人間の尊厳」といった国の価値観を体現するもので「フィンランドとフィンランド人を世界に代表する立場」だと訴えた。
一方で「ここ数日の出来事は、国内のみならず国際的にも深い傷、失望、懸念を引き起こした。これは当然のことです。現ミス・フィンランドのSNSに投稿された内容は攻撃的で有害であり、コンテストの価値観に完全に反している」とし、下記のように謝罪した。
「これらが与えた被害について深くお詫び申し上げます。特にアジア系コミュニティの方々、そして影響を受けた全ての方々へ。いかなる形での人種差別も決して許されるものではありません」
「責任に関わる」として...称号はく奪&次点者に移譲
協会側は専門家と協議し、サラ氏と直接話し合い、一連を徹底的に検証したと説明。難しくも必要な決断を下したとして「サラ・ザフチェが保持していたミス・フィンランドの称号は、本日をもって、はく奪されます」と発表した。
「この決定は個人の人間的価値ではなく、責任に関わるものです。個人が国家および国際的な代表役を担う場合、行動と責任は切り離せない。ミス・フィンランドは模範となる立場にあり、出身地・背景・外見に関わらず全ての人々を尊重することが求められます」
ただ、「個人的な所感」としてはサラ氏の今後の活躍を祈り、「人は成長し学び続けることができます。それは常に可能なことです。ミス・フィンランドの称号には高い責任が伴います。今回の状況において、この役割を継続するための条件は満たされていませんでした」とも伝えている。
サラ氏からのコメントも紹介された。謝罪に加え、「この措置により、私たちがこの事態をいかに深刻に受け止めているか、そしていかなる形での人種差別も決して許されないことを示したい」などと記されている。
ミス・フィンランドの大会規定と慣例に従い、称号は次点者に移るという。