「核保有すべき」発言、「オフレコ破り」めぐり与野党反応さまざま 「ルール違反」「責任は政府側」

   高市早苗政権で安全保障を担当する首相官邸の関係者が2025年12月18日、オフレコを前提にした記者団の非公式取材で「日本は核保有すべきだ」などと述べたと報じられた。「王レコ破り」に対し、与野党の国会議員からさまざまな意見がXで出ている。

  • 首相官邸
    首相官邸
  • 高市早苗首相(2025年10月撮影)
    高市早苗首相(2025年10月撮影)
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  • 高市早苗首相(2025年10月撮影)

朝日「首相官邸の幹部」、時事「政府高官」、共同「官邸筋」、毎日「首相官邸関係者」

   複数の報道によれば、首相官邸の関係者が18日、個人的な見解だと断った上で「日本は核保有すべきだ」と発言したという。一方で、政権内で実際に議論を進めているわけでもないと述べたとも報じられている。

   発言をしたとされる人物は、各社で微妙に表現が分かれている。朝日新聞は「首相官邸の幹部」、時事通信社は「政府高官」、共同通信は「官邸筋」、毎日新聞は「首相官邸関係者」としている。

   発言が波紋を広げる中、自民党・河野太郎衆院議員は19日、オフレコでの発言を報道したメディアの姿勢をXで批判した。「そもそもオフレコの場での発言を、相手の了解も取らずに報道する姿勢が大きな問題で、次からはそうしたメディアがオフレコの場から排除されてもしかたがないのでは」

   また別の投稿では、「多くの国際会議では、重要なクローズドのセッションは、オフレコまたはチャタムハウスというルールで行われている」と説明。続けて、「日本のメディアはオフレコのルールを守らない、あるいは日本の参加者はオフレコのルールを恣意的に運用するなどと思われたら影響は大きい。ルールはルールということを徹底できないメディアはダメだろう」とも指摘した。

   日本維新の会・藤田文武共同代表も同日、オフレコ発言の報道を問題視した河野氏に同意した。河野氏の投稿を引用リポストし、「おっしゃる通りです。私も経験しましたが、前後の文脈も無視して出したり、雑談のような話ですらコメント切り取って報道するような姿勢なら、取材対応はおろか、なんの情報交換もできなくなりますね」と書き込んだ。

   同党・三木圭恵衆院議員も19日、「オフレコ前提で話したことを、許可も取らずに記事にするのはルール違反ではないのでしょうか。記事の内容以前の話しかと思います」と批判した。

   国民民主党・玉木雄一郎代表も同日、報じられた発言への見解を述べた上で、「しかし、オフレコの話を記事にするメディアも問題では」とした。

元毎日・岡田悟議員、オフレコでも「重要性や深刻さを勘案して報じる場合」

   「オフレコ破り」に理解を示す声もある。立憲民主党・岡田悟衆院議員は19日、「オフレコでも内容の重要性や深刻さを勘案して報じる場合があります。政治家や政府高官ならそれを十分に踏まえた上で、記者にどう伝わり、記事や論説に明に暗にどのように影響するかを計算して発言するものであり、発言内容への責任は政府側にあります」と説明し、政府側を問題視している。岡田氏は毎日新聞社やダイヤモンド社で記者経験がある。

   オフレコであっても発言は許されない、という角度の批判もある。共産党・山添拓政策委員長は18日、発言を「政府が掲げているはずの核廃絶と完全に逆行し高市政権のタガが外れた暴走があらわ」と批判し、発言者の名前が報じられていないことを「オフレコゆえか」と指摘。その上で、「しかしこの逸脱はいかなる場面であれ断じて許されない」とした。

   立憲民主党・米山隆一衆院議員も同日、「日本が核を保有する事はNPT体制に反し、何より最大の同盟国アメリカが許しません」とした上で、「オフレコだろうが政府高官が記者のいる所でこんなことを口にしたら、それが伝わって日本批判の口実となり、最悪国際問題になりかねない事に思い至らないのは余りに欠落しています。残念です」と述べた。

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