「バーガーキング」日本事業、700億円で売却 77店→300店超に急拡大...投資ファンドの鮮やかすぎる手腕

   香港の投資ファンド・アフィニティ・エクイティ・パートナーズは、ハンバーガーチェーン「バーガーキング」の日本事業を米ゴールドマン・サックスに売却する。

   アフィニティは2017年に日本事業を買収し、19年時点で77店舗まで縮小していた店舗数を約4倍の308店舗(25年10月末現在)まで拡大。「安く買い、育てて、高く売る」という投資ファンドの教科書的成功例となった。

  • バーガーキングの店舗
    バーガーキングの店舗
  • バーガーキングの「ワッパーチーズJr.」
    バーガーキングの「ワッパーチーズJr.」
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  • バーガーキングの「ワッパーチーズJr.」

一度は撤退、再上陸も苦戦続く

   バーガーキングは1993年、西武商事(現・西武不動産)がフランチャイズ契約を結び日本へ初上陸した。だが、1990年代後半からハンバーガーチェーン市場では低価格競争が激化。メニュー単価が高いバーガーキングは客足が遠のき、2001年に撤退した。

   07年、ロッテ日本法人と企業支援会社のリヴァンプが共同出資でバーガーキング・ジャパンを設立し、日本再上陸を果たす。しかし、業績は低迷したままで、10年には韓国ロッテリアに買収された。

   転機は17年のアフィニティによる買収だった。一時は77店舗まで縮小したが、現在では300店舗超にまで増えている。

直火焼きとデジタル化、39カ月連続プラスの快進撃

   何が奏功したのか。バーガーキングの最大の特徴は「直火焼き」製法だ。他の大手チェーンがパティを鉄板で焼く調理法を採用する一方、バーガーキングは直接火で肉を焼くスタイルであり、その独自性と看板メニュー「ワッパー」の大きさや食べ応えを前面に打ち出し、「本格派」を想起させるブランド戦略を徹底した。

   さらに、SNSで話題を呼ぶユニークな広告戦略や、デジタル注文の強化で若年層を取り込んだ。アフィニティの発表によれば、各種施策により20年にはEBITDA(利払い前、税引き前、減価償却前利益)が黒字になったという。

   店舗数も急拡大した。現在の運営会社・ビーケージャパンホールディングス(BKJHの発表によれば、12月末時点で337店舗を見込んでおり、6年で店舗数を約4倍に拡大させたことになる。

   既存店の売上高も好調を維持しており、22年7月から25年9月まで39カ月連続で既存店売上高が前年同月比プラスを記録している。

投資ファンドの典型的な成功パターンに

   そして25年11月13日、アフィニティは保有するBKJHの全株式をゴールドマン・サックスのプライベート・エクイティ部門へ売却する契約を締結した。売却額は非公開だが、11月17日付の日本経済新聞の報道によれば約700億円だという。

   今回の売却劇は、投資ファンドの典型的な成功パターンだ。苦境に陥った企業を安く買収し、経営を立て直して価値を高め、適切なタイミングで売却する。アフィニティはまさにこの戦略を8年間で完遂した。

   BKJHは28年末までに600店舗体制を目指すとしている。今後3年で約1.8倍に拡大させる計画だ。

   急拡大には人材確保やオペレーション品質の維持が不可欠となる。アフィニティが築いた成長基盤を、ゴールドマンがどう引き継ぎ加速させるか。投資ファンドの手腕が試される。

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