「内省」の年末年始、あけおめ退職は「構造的な意思決定」で生まれる
仕事始めの退職が増加する理由について、新野氏は「あけおめ退職は、単なる年末年始の気分的な出来事ではなく、構造的な意思決定だと捉えています」と説明する。
新野氏によれば、「年末年始」は、日常業務から強制的に切り離され、家族や友人と長時間対話したり、自分の人生・キャリアを俯瞰したりと、「内省」が起きやすい期間だという。
さらに近年では、(1)アメリカを中心としたスタートアップ・AI市場の急成長(2)SNSやポッドキャストなどを通じた転職・副業・起業のグローバルな可視化(3)「雇われ続けること=安定」という前提の崩壊――という価値観の変化も起きている。
新野氏は、「その結果、『この会社に"不満があるから"辞める』ではなく、『このままここに居続ける理由を、言語化できなくなった』という冷静な視点が、年末年始に一気に表面化するのだと思います」と分析する。
企業はどう対応すべきか。新野氏は「年末年始だけの施策で防ぐことは不可能」だと指摘する。あけおめ退職は、評価・報酬・裁量・成長実感・対話の密度などの要素が長期的に蓄積した結果として起こる反応だからだと説明する。
新野氏が勧める対策は次の4点だ。
まず、1on1の目的を「管理」から「思考の壁打ち」へ昇華させる。状況を確認するのではなく、「この人は今、何に違和感を持っているか」を拾いに行く。
2番目に、キャリアの「出口」を社内に用意する。昇進だけでなく、職種転換・裁量拡張・社内起業的な選択肢を提示する。
3番目として、辞める自由を前提にした関係を設計する。新野氏は「退職をタブー化するほど、決断は水面下で進みます」と述べる。
最後に、退職代行サービスを「敵」ではなく「シグナル」として扱う。利用されること自体が、組織のどこに摩擦があるかを示すデータになるとしている。