日本航空(JAL)などの航空機内で、中年女性が客室乗務員(CA)とともに「CAコスプレ」姿の記念撮影をしてインスタグラムに投稿していたことが分かり、こうした行為に批判も出ている。保安面などでのリスクになるといった理由からだ。事案は複数の航空会社で起きており、取材に対し、「法的な問題はないが、誤解を生むのでよろしくない」との見解を示す会社もあった。一方、国土交通省は、「乗務員が付き添った場合は、直ちに運航への支障にはならない」と取材に答えた。中年女性がCA2人と同じJALカラーのエプロン姿で...白髪混じりの中年女性が、本職CAの女性2人と同じJALカラーのエプロンを着け、2人と和やかに話している。機内食を用意するギャレー内でのことだ。着ている服は、制服と色がやや違うが、女性は、機内食を手に持ち、CAになり切っていた。この写真は、女性のインスタグラムで2025年12月4日に投稿された。その説明によると、東京・羽田発米国ホノルル行きの便だといい、乗客が睡眠を取っている時間に撮影したとした。制服に似た服は、コスプレ衣装店から調達し、エプロンは、CAのものと同じ柄を使った商品を購入したという。機内では、チーフパーサーから「よろしかったら」とジャケットを貸してもらったとも明かした。CAの2人などと記念撮影した写真もアップしており、女性は、チーフパーサーが機内食の提供作業で使う上着を着たとするものもあった。CAからは、ハワイでの滞在を楽しんだ後に再会できるのが楽しみだとする手紙なども渡されたとして、写真で紹介していた。この女性は、JAL以外の航空機でも、CAコスプレと称する記念の写真や動画を撮って、インスタで次々投稿していた。25年9月の投稿では、日本の地域航空会社「IBEXエアラインズ」の機内で、乗客の姿が見られない座席間の通路でCAらと記念撮影したり、タラップに1人で立つ様子が写ったりした写真があった。10月には中国・天津航空、日本の格安航空会社(LCC)「ピーチ」、11月には香港のLCC「香港エクスプレス航空」と、それぞれの機内でCAらとの記念写真を投稿していた。11月の投稿では、コスプレの服は、針と糸、ハサミを使って自作したともしている。女性は、CAへの憧れがあると明かしており、展示会の航空機内でコスプレを撮った写真も以前に投稿していたことから、憧れが募って実際の機内でも撮影しようと思ったのかもしれない。JAL「問題はなかったが、ご意見は真摯に受け止め」女性のインスタ投稿は、1月12日になって、X上で取り上げられて批判された。投稿画像も拡散しており、航空会社に対しても、厳しい意見が次々に書き込まれている。「JALヤバ過ぎない?万が一乗客の食事に異物混入でもしたらどうするん?」「他の搭乗者が間違うような服を意図的に着てるのが問題」「注意喚起しない航空会社が悪い。保安意識の欠如だと思う」これに対し、女性は同日、インスタ上で当時の状況を説明した。それによると、コスプレの服は、明らかに本物と違い、航空機に搭乗するときは着ていなかったという。乗客の目に触れるのは保安上よくないと認めたが、そうならない一瞬の撮影だったとも強調した。しかし、急に閲覧数が伸びたためSNS上で話題にされているのかと漏らし、戸惑っている様子だった。その後、15日になって、投稿がすべて削除され、しばらくしてアカウントも閉鎖された。各航空会社では、機内でのCAコスプレについて、保安面などでどのように考えているのだろうか。女性との記念撮影について、JALの広報部は16日、J-CASTニュースの取材に対し、常に客室乗務員の監督下や監視下にあったと説明し、「安全・保安上の問題はなかったと考えております」と答えた。ただ、今回の件で客から様々な意見が寄せられていると明かし、「ご意見を頂戴していることを真摯に受け止め、今後当社内でお客さまサービスのあり方について検討してまいります」とした。ピーチの航空機を運営するピーチ・アビエーションの広報担当者は21日、取材に対し、25年5月の便で、目的地に到着した後、乗客が機内から降りた後に女性がCAの制服のようなものを着て、CAらと撮影したと答えた。「今回については、お客様が降機した後に撮影しており、その安全に影響する状況ではありませんでした。航空法上などの不正な行為はなかったと考えています」ただ、緊急脱出するなどの有事では、客を適切に誘導する必要があり、制服と類似した服装では指揮命令系統に混乱を与えるとして、「お客様が機内にいて、その安全に影響する恐れがあるときは、このような服装を遠慮していただきます。乗務員になしすましたときは、毅然とした対応を行います」としている。IBEX「機内では相応の秩序が求められます」一方、IBEXエアラインズの広報担当者は1月19日、25年9月の便でCAと女性が数分の間、記念撮影したことを取材に認め、その是非についてこう答えた。「コスプレそのものは禁止されておらず、航空法上の問題はありませんが、機内では相応の秩序が求められますので、あまりよろしくないと考えています。一般のお客様もおられる機内は、コスプレする場ではないと思います。誤解を生む可能性もありますので、今後は注意して止めていただくようにします」こうした撮影は初めてだという。タラップでの撮影は、確認できていないとした。女性は、制服の模造品を着ており、搭乗中は上にコートを着ていたという。どこで着替えたのかは、分からないものの、保安検査ではコートを脱ぐため、検査後ではないかとみている。目的地への到着時に乗客が降りてから、コートを脱いで撮影したという。航空会社を監督する立場にある国交省の航空保安対策室は19日、取材に対し、次のように答えた。「機内での着衣について縛っているルールはなく、コスプレをしたから直ちにダメということにはなりません。客室乗務員が付き添ったのなら、周囲に乗客がいたとしても、直ちに運航への支障にはならないと思います。機内の業務に支障が出る行為があれば、乗務員は『止めて下さい』と指導するでしょう。従わないようなら、機内の秩序を乱す航空法違反の安全阻害行為などの問題になります」チーフパーサーがジャケットを乗客に貸すことについては、「航空会社がどう考えるかだと思います」とした。なお、投稿した女性に対しても、CAコスプレを批判されたことをどう考えるかなどについて、15日から取材を申し込んでいる。(J-CASTニュース編集部 野口博之)
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