やす子、炎上続き...「心疲れました」 テレビが作った「いい人キャラ」の重圧と素質の落差があったのか

リアクションとセットで成立してきた「芸」

   ただ、やす子さんは以前から、歯に衣着せぬ発言をするタレントとし知られてきた。

   24年1月29日放送の『呼び出し先生タナカ』では、頻繁にドッキリにかけられる『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(フジテレビ系)に対して「一番嫌いな番組」と断言し、「人にドッキリかけて嘲笑ってる。ゴミクソじゃねーか、バカ野郎!」と本音を連発した。

   また、25年5月放送の『上田と女が吠える夜』(日本テレビ系)では、「白湯って何の栄養もない」とし、朝方の人間に対して、「朝から白湯を飲まなきゃって考えるから性格が悪くなる」と「暴論気味」に切り込んでいる。

   さらに、25年8月放送の『ドッキリGP』では、坂上忍さんの愛犬を預かるドッキリ企画でスタッフの不手際に、「見てって言ったじゃん!」「バカ3人衆」と激昂していた。

   こうした発言は、「切り取りだから無罪」でも、「本性だから有罪」でもない点はポイントだろう。

   やす子さんは、感情が前に出る場面も少なくない。しかしそれは、番組内の空気や相手のリアクションとセットで成立してきた「芸」でもあった。

   問題は、過剰に作り上げられた「良い人キャラ」と、実像とのギャップ。その落差が大きすぎるがゆえに、辛口や本音が切り取りによって文脈を失った瞬間、特に番組を直接見ていないネットユーザーから「キャラ変」として消費されてしまった。

   また、視聴者も、自分では何も思っていないのに、「これは炎上しそう」と先回りして考えてしまう「切り取り脳」になっている。

   やす子さんの「心疲れました」という言葉は、批判への逆ギレではない。テレビ業界が貼った善人像を背負わされ、切り取り文化に翻弄される末に漏れた限界のサインではないだろうか。今後求められるのは、いい面もダークな面も併せ持つ「シン・やす子」としての再定義だ。

   切り取りと過剰な期待の両方から距離を取れるかが、次の分岐点になる。

(川瀬孝雄)

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