町中華どんどんなくなって倒産は過去最多 進む店主の高齢化...町の味を継いでくれる人を探しています

   「香林」は石川県穴水町で創業45年の中華料理店だ。ラーメンや餃子、セットメニューが人気の町中華だが、店主が高齢になり、後継者を探している。冷蔵庫や調理機器などは買い替えたばかり。口コミやリピーターが多く、最近は若い女性のお客さんも増えているという。「長年愛されてきた味を引き継ぎ、さらに発展させてくれる方に引き継いでもらえたら嬉しいです」

  • 町中華など「中華・東洋料理店」の倒産が増えている(画像はイメージ)
    町中華など「中華・東洋料理店」の倒産が増えている(画像はイメージ)
  • 帝国データバンク「飲食店」の倒産動向(2025年)より
    帝国データバンク「飲食店」の倒産動向(2025年)より
  • 町中華など「中華・東洋料理店」の倒産が増えている(画像はイメージ)
  • 帝国データバンク「飲食店」の倒産動向(2025年)より

中華なのにカレーやオムライスもある魅力

   昭和レトロで、コスパ良し。中華なのにカレーやオムライスもある。人情味のある接客もうれしい。そんな町中華が若い世代からも再認識され、「町中華で飲ろうぜ」(BS-TBS)、「ぶらぶら町中華」(CSテレ朝チャンネル)、「マッチと町中華。」(BS朝日)といった放送番組や雑誌連載がブームの長寿を支えている。

   しかし、帝国データバンクによると、2025年に町中華を含む「中華・東洋料理店」の倒産は179件をかぞえた。前年より21件(13.3%)増えて過去最多となった。「アフターコロナでの飲食スタイルの変化に対応できなかった企業の淘汰が進んだ」という。

   食材や光熱費の高騰もある。深刻なのは高齢になった店主の「気持ちの折れ」かもしれない。フードビジネスコンサルタントの永田雅乙さんは2025年5月、FMラジオJ-WAVEの番組でこう分析した。「外食自体が減って、デリバリーが便利になって。そうすると置いていかれる人がいて、気持ちが折れて引退しちゃうんです。お金がどうのというよりは『もうそろそろいいかな』と思ってしまう人が多く、いま廃業ラッシュなんです」

町の記憶や日常を支える店の灯をつないで欲しい

   町中華のような身近な店や中小企業がどんどん廃業していくと、まちの魅力がそがれ、人口減の「負のスパイラル」につながる。いわゆる「大廃業時代」を迎え、事業承継を支援する取り組みが各地で進む。啓発セミナーや相談会のほか、新たにマッチングプラットフォームを導入する自治体が目立っている。

   事業承継仲介会社ライトライトが運営するサイト「relay(リレイ)」には、飲食店をはじめ、さまざまな業種のオーナーたちが写真付きで登場する。自らの思いや店、仕事の魅力を語り、結婚マッチングアプリのように、あとを継いでくれる人を全国から募るしくみだ。

   同社によると、2020年のサービス開始後、約800件の後継者募集案件を公開。2025年12月までに約160件のマッチングが生まれた。導入した県や市など自治体や商工団体は計100を超すという。

   このサイトに中華料理では、北海道、東京、石川、岡山、鳥取、大分、熊本などの都道府県にある店が登場する。冒頭の「香林」もここで紹介されている。

「継ぎ手への希望:ラーメン・中華料理が好きな方、出来れば店名やレシピを引継ぎ、地域に貢献してくれる方。譲渡後の関わり:一定期間の引継ぎサポートが可能」

   店主は「町中華の魅力を活かしながら、新しい可能性を広げてくれる方をお待ちしています」と呼びかけている。地元の記憶や日常を支える店の灯をどうつないでいくか、これからの地域づくりの課題でもある。

(ジャーナリスト 橋本聡)

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