大阪府「違法ギャンブル」啓発動画、偏見助長すると専門家批判 夕方に担当者反論も...夜に非公開に

   大阪府が2026年1月21日に公開した、若年層向けの違法オンラインギャンブル啓発動画に批判が相次いでいる。ギャンブル依存症の当事者らを支援する団体の代表は27日、依存症者への偏見を助長するなど複数の問題点をXで指摘。また、国民民主党・足立康史参院議員も動画を批判する事態になっている。

   府の地域保健課依存症対策グループの担当者は28日夕の取材に対し、オンラインギャンブルの違法性の啓発と、依存症全般に関する相談窓口の周知が、啓発動画の目的だと説明。今後の対応については「回答できない」としたが、動画は夜になって非公開にされた。

  • 大阪府の地域保健課依存症対策グループのYouTubeチャンネルより(現在は非公開)
    大阪府の地域保健課依存症対策グループのYouTubeチャンネルより(現在は非公開)
  • 大阪府の地域保健課依存症対策グループのYouTubeチャンネルより(現在は非公開)
    大阪府の地域保健課依存症対策グループのYouTubeチャンネルより(現在は非公開)
  • 大阪府の地域保健課依存症対策グループのYouTubeチャンネルより(現在は非公開)
  • 大阪府の地域保健課依存症対策グループのYouTubeチャンネルより(現在は非公開)

「ラクして生きる」「自分の中の鬼に勝つ」などの表現が物議

   批判されているのは、「違法オンラインギャンブル等対策啓発動画『ギャン太郎』」と題したアニメーション動画だ。府の依存症対策グループの公式YouTubeチャンネルで21日に公開された。

   この動画では、高校生の主人公がオンラインギャンブルを見つけ、「ラクして生きる人生見つけたかもしれん!」と声に出す。その後、抜け出せなくなった主人公はカウンセラーに相談しに行き、「自分の中の鬼に勝ち、ほんまの意味で"鬼退治"を果たした」という結末を迎える。そして最後には、依存症の相談窓口などを表示している。

   この動画に対し、ギャンブル依存症の当事者や家族を支援する団体「ギャンブル依存症問題を考える会」の代表・田中紀子氏が27日にXで問題点を指摘。

   田中氏の投稿を引用リポストした足立氏も同日、「依存症という病気に対する根本的な誤解と、誤ったメッセージがもたらす害悪にある」と批判する事態となっている。

   田中氏の投稿によれば、「ラクして生きる人生見つけた」という表現は、「ギャンブル依存症になる人間は怠け者である」という誤ったステレオタイプを強化する。

   また、依存症の解決策を「自分の中の鬼に勝つ」と表現している点などを挙げ、「医学ではなく、ただの無知による精神論」と批判した。

   さらに、依存症という病気に苦しむ当事者を「鬼」として描いているとし、「当事者の自尊心を傷つけ、孤立を深める」と指摘。相談先の情報提供も不十分だとしている。

担当者「偏見を助長するものではない」

   府の依存症対策グループの担当者は28日、今回の動画の制作経緯をJ-CASTニュースの取材に説明した。担当者によれば、民間事業者を公募し、その企画提案を外部有識者が選定。最も評価点が高かった「博報堂プロダクツ 関西支社」が作成した。

   「ラクして生きる人生見つけた」という表現については、オンラインギャンブルの違法性を周知するため、「偏見を助長するものではなく、自分事として捉えてもらうための表現になっております」と話す。

   また、「鬼」という表現についても、「オンラインギャンブルなどのギャンブル依存症に陥ると、辞めたくても辞められない状況になります。『鬼』という表現は、心の奥底にある、目に見えない悩みや葛藤を表現しました」と説明している。

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