救急現場をスマホなどで撮影するケースも見かけるとして、三重県の志摩市消防本部が、そうした行為を自粛するよう公式Xなどで協力を呼びかけている。
「個人情報の漏洩や活動の支障となる恐れ」があるからだという。投稿を担当した志摩消防署の救急係に取材して話を聞いた。
投稿は大反響、「いいね」1000件超
救急隊員が傷病者を担架に乗せて、忙しく救急車まで運んでいる。すると、その友人男性4人が、談笑しながら、スマホを傷病者の方へ向け続けた。
車内では、隊員が傷病者と向き合いながら、心配そうな表情で「じゃあ、血圧測りますね」と立ち上がる。ところが、その横にいた友人男性がスマホで傷病者の顔を撮り始めた。傷病者も、笑顔でポーズを取っている。
「ごめんなさい、ちょっと止めてもらっていいですか?」
隊員は、撮影する友人を制止するが、この友人は、なかなか止めない。
「ちょっと危ないんで、止めて下さい。すみません」
隊員が友人に元の位置に戻ってもらうようにすると、友人は、ようやく撮るのを止めた。
救急車の外と中のシーンとも、映像の後にブザーを鳴らして、大きく「×」マークで禁止行為と知らせた。
この動画は、1分弱あり、志摩市消防本部の公式Xやインスタグラムで、2026年2月2日に公開された。
「救急現場での撮影について」と題して投稿しており、そこでは、こう呼びかけた。
「救急現場において、スマートフォン等による撮影行為が見受けられることがあります。救急現場での撮影は個人情報の漏洩や、救急隊の活動の支障となる恐れがあります。誰もが安心して救急車を利用できるよう、撮影自粛にご協力をお願いいたします」
この投稿は反響を呼び、1000件超の「いいね」が集まっている。
交通事故や火災の現場では、救急隊の活動に支障
公式Xなどに投稿した動画について、作成した志摩消防署の救急係は2月3日、同署の職員たちが啓発のために演じたものだと説明した。
「スマホなどによる救急現場での撮影が全国的に増えて来たことが職員の間で話題になり、動画を作ることになりました。志摩市内では、交通事故や火災の現場で、救急隊の活動の支障となる行為が散見されます。交通事故では、通行人がスマホを向けて来て、被害者などのプライバシー侵害になるほか、救急搬送の障害になるケースも出てきています。火災では、近所の方が近づいてスマホで撮ろうとするので、『危険なので下がって下さい!』と注意することもあります」
全国的には、動画のように傷病者の友人が救急車内で無断撮影したり、写真や動画をSNSに投稿したりするケースも見られるとした。また、救急搬送される傷病者本人が車内で自撮りして、救急車をタクシー代わりに利用しているのではないかと疑われることもあるという。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)