駅や電車内でのマナーは、多くの通勤・通学者が日々気にしていることの一つだ。一般社団法人日本民営鉄道協会が実施した「駅と電車内のマナーに関する調査」では、「乗降時のマナー(駆け込み乗車、乗車列への割り込み等)」が、利用者の不満としてあげられている。混雑する時間帯ほど、ちょっとした行動がトラブルにつながりやすいことがうかがえる。関西から上京して約5年が経ち、都内へ通勤している中村翔太さん(仮名・30代)も、駅のホームで忘れられない出来事を経験した。並んでいる列から外れて立つ男性「いまだに満員電車には慣れなくて、毎日かなり気を張っています」中村さんは、片道1時間以上かけて通勤している。ある日の帰宅途中、乗り換えようとホームの列に並んでいた。そのとき、列の少し外れた位置に立つ年配の男性が目に入った。「見た瞬間に、『あ、たぶん割り込んでくるな』と思いました」駅では、乗車列を無視して先に乗ろうとする人を見かけることが多いという。中村さんは、列への割り込みに強い抵抗感があったそうだ。そこで、列を守るつもりで、男性が前に出られないような位置取りをした。そして、電車が到着したのだが――。男性は勢いをつけるようにしてぶつかり...男性は勢いをつけるように中村さんにぶつかり、そのまま先に乗車。電車が動き出すと、中村さんの驚きは次第に怒りへと変わっていった。「このまま帰ると、ずっと引きずりそうだなと感じてしまったんです」車内を見渡すと、男性はドア付近の端に体を預けるように立っていた。中村さんは、降車駅が近づくにつれ、自分の中で気持ちが「ざわざわ」していくのを感じていた。だから、タイミングを見計らって、少しだけ体重をかけて相手に接触したのだという。男性は「驚いた様子でした」。ちょっとした仕返しをしたわけだ。「大人げなかったですけど、そのまま何もなかったことにするのも、当時はむずかしかったんです」割り込みや接触は、混雑した駅や車内では起こりやすい。一方で感情に任せた行動が決していいわけでもない。中村さんはあのとき、どんな対応がよかったのか、いまでもときどき振り返るという。
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