高市早苗首相が公式サイトに掲載された過去のコラムを全て削除したことで、インターネット上では消すとかえって拡散される「ストライサンド効果」が発生している。既に暴かれた「消費減税は私の悲願」発言の矛盾だけでなく、過去の過激な主張が次々と掘り起こされる事態となっている。3か月前と矛盾するコラム削除の理由事の発端は、2026年2月17日に「プレジデントオンライン」が配信した記事だった。高市首相の過去のコラムを検証し、消費税減税が「悲願」とする発言を「真っ赤なウソ」と断じたところ、ほどなくして全てのコラムが削除された。2月24日に衆院本会議で、野党からこの件を追及された高市首相は「総理になってからコラムを書く時間もなく、ずっと更新できていなかったこともあり、コラム欄は削除しました」と述べた。だが、この説明はわずか3か月前の首相発言と矛盾する。高市首相は就任直後の25年11月の参院予算委では「あえて自分の政治家としての歩み、私の進歩も含めて見ていただこうと思って、過去のコラムも撤回したようなものも含めて全て掲載を続けております」と答えていた。公式サイトからコラムは全て削除されたが、アーカイブサイト「ウェイバックマシン」には、過去のコラムの記録が残されている。削除を受け、SNSでは逆に過去の発信を掘り返す動きが加速した。26年2月20日の施政方針演説で、高市首相は「国会における発議が早期に実現されることを期待する」と憲法改正に向けた意気込みを語った。アーカイブによると、05年6月のコラムでは「憲法九条改正私案」として「国防軍を保持する」との持論を展開していた。この思想は近年も維持されているようで、22年5月のコラムには、自民党が野党時代の12年に発表した「国防軍」を明記した日本国憲法改正草案を「個人的に大好きです」と記している。過去にはさらに過激な言説も。落選していた時期の04年12月には北朝鮮の拉致問題に触れ、「もしも、日本が諜報機関や軍事力を整備した国家であれば」と前置きした上で、「北朝鮮の現政権を転覆させる工作を行うと同時に、軍隊を投入して拉致被害者の奪還作戦を展開すべき段階に来ているのだと思います」とし、政権転覆や軍事介入を肯定するかのような考えを記した。さらに同年8月には、中国の刑法に「国旗侮辱罪」があることを引き合いに、日本でも「自国民による国旗侮辱罪も規定すべきだと考えています」との主張も展開していた。野党時代は民主党をボロクソ「亡国政権延命を許すな!」削除されたコラムからは、高い支持率を得ている最近のイメージを覆すような記述もあった。26年2月8日投開票の衆院選後、自民党が大勝した要因について、一部からは「若者は批判が嫌い」「高市首相は他党を批判しなかった」との考察がSNSなどで広がっていた。しかし、過去のコラムからは極めて攻撃的な政治姿勢が浮かび上がる。自民党が下野していた09年から12年にかけて、高市氏は当時の民主党政権に対する辛辣な批判を度々掲載。「国会軽視の暴走内閣」「政治資金問題に関する国会審議を拒絶している民主党の姿勢は、憲法の精神を踏みにじる」「国民の依存心を煽るバラマキ政策」「ポピュリズム政治の恐ろしさを感じます」「亡国政権延命を許すな!」と批判の言葉を繰り返していた。外交面では、26年1月に行われた韓国の李在明大統領との会談で「ドラム外交」により日韓友好を演出した高市首相。しかし、コラムからは過去の強硬な本音とのギャップが透けて見える。22年5年には韓国の尹錫悦大統領(当時)に対する要望を掲載。竹島について「本日に至るまで不法占拠を続けていることも、明白な国際法違反です」と指摘し、慰安婦像の設置についても「国際儀礼上、許されるものではありません」と一歩も引かない姿勢を強調していた。公式サイトからの情報削除は、特定の疑惑を打ち消すどころか、過去の全発言に対する再検証という事態を招き、削除した理由の矛盾も火に油を注ぐ結果になった。SNSでは「書く時間はないけど消す時間はあったんだね」「もう言い訳にすらなってない」という不信感がくすぶっている。消された言葉がデジタル空間で増殖し続ける中、首相自身が過去の主張と現在の政策をどう整合させるのか、改めて姿勢が問われている。
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