経歴は「武器」にも「弱点」にもなるのか
結果は、不採用だった。
誠実に対応されたからこそ、山田さんは「現在のやる気よりも、過去の肩書きが先に見られた」と考えたそうだ。
「熱意を伝えても、経歴のイメージが先行してしまう感覚でした」
しかし、その後の就職活動では状況が一変した。
別の設備会社からは、独立経験を「行動力がある」と評価され、採用が決まったのだ。始めはアルバイトとして勤務し、2025年4月から正社員として働いている。
「独立経験は扱いにくいと見られることもあれば、強みとして受け入れられることもあります」
人材採用の現場では、経営経験者に対して「裁量志向が強い」「組織になじめるか不安」といった懸念が語られることもある。一方で、主体性や実行力を評価する企業も少なくないという。
「再挑戦する人が『戻れない人』と決めつけられるのはつらいです。でも、見る側の視点が違えば、評価も変わることが分かりました」
副業や独立が珍しくなくなった時代だからこそ、キャリアの選択肢は一方向ではない。独立から会社員への「再転身」を考える人は、経歴の伝え方や企業との相性を慎重に見極める必要がありそうだ。
「一度外に出た人は戻れない」という思い込みが、知らず知らずのうちに機会を狭めていないか――。企業側も、求職者側も、改めて向き合うべきテーマといえるかもしれない。