オランウータンのぬいぐるみを母代わりに抱く姿で一躍人気となった子猿「パンチ」をめぐり、市川市動植物園(千葉県市川市)が2026年3月10日にXで「パンチが『いじめられている』とされる動画について」として、声明を公開した。
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市川市動植物園のX(@ichikawa_zoo)より -
市川市動植物園のX(@ichikawa_zoo)より
「ただかわいそうと思うのではなく、パンチの頑張りを応援して」
パンチは生後約半年のニホンザルで、母猿が育児をしなかったことから飼育員による人工保育で育てられた。子猿は通常、生まれた時から母猿にしがみついて生活するが、母のいないパンチは代わりにオランウータンのぬいぐるみにしがみついている。ぬいぐるみに甘えながらも懸命に群れに馴染もうとする姿が注目を集め、SNSを中心に注目を集めた。
問題となっていた動画は、2月19日頃にXで拡散されたものだった。動画では、パンチが自身より少し大きな子猿に近づくも、その子猿はパンチから離れてしまう。その後、大人の猿がパンチに駆け寄ると、引きずり回した。パンチは大人の猿から逃れると、オランウータンのぬいぐるみの元へ走り、抱きついていた。
同園は20日、この動画についてパンチが「サルとして生きるためのコミュニケーション方法」を学ぶ過程での出来事だったと説明。「ただかわいそうと思うのではなく、パンチの頑張りを応援していただければと思います」と呼びかけていた。
「これらの行動は人間の『虐待』とは異なります」
同園は3月10日、先述の動画について未だ「国内だけでなく国外からも、多くの皆様からご心配の声をいただいております」と明かし、改めて説明を行った。
「まず、ニホンザルの群れは、明確な社会階層を持つ専制社会を形成しており、支配的な個体が下位の個体に対して『躾け』をすることがあります。これらの行動は人間の『虐待』とは異なります」
「既存の文献に基づけば、こうした『躾け』はニホンザルの群れで自然に起こるもので、パンチだけに限られたものではありません」という。さらに、「こうした『躾け』は24時間発生しているわけではなく、パンチは1日の大部分を平穏に過ごしています」とし、パンチの面倒を見たり一緒に遊んだりする群れのサルも増えつつあるとした。
その上で、「しかしそれでも、順位の高い個体数頭から手を出される場面が増えてきたことから、私たちは3月8日より一時的に、その個体数頭を群れから離しました。当面、この状態で様子を注意深く見守りたいと考えています」という。
「パンチを心配する気持ちは、私たちも皆様と同じです」
園の対応状況について「当園では3名の獣医師チームを配置し、バンチはもちろんのこと、全ての動物の健康状態を毎日確認しております」と明かし、「現時点において、パンチの生存が脅かされるような攻撃を受けた事実はありません」と説明した。
「『躾け』の様子を浸然と放置し、人々の同情を誘うことで当園の集客や利益に繋げようとする意図はありません」ともしている。
「多くの方々より『パンチを群れから離して』というご意見をいただきます。その心情は十分理解できるものです」としつつ、「しかし、群れでの生活に慣れてきたパンチを、今、群れから離すことは、生涯群れに戻れず生活し続けなければならないリスクを生み出します」と指摘。
「パンチを心配する気持ちは、私たちも皆様と同じです。飼育員やスタッフ一丸となって、今後もパンチが群れのサルとして健全に暮らしていけるよう飼育を続けてまいります」とつづった。
ご一読いただけると幸いです。
— 市川市動植物園(公式) (@ichikawa_zoo) March 10, 2026
パンチが「いじめられている」とされる動画について
Regarding the videos reportedly showing Punch "being bullied"#市川市動植物園#がんばれパンチ pic.twitter.com/l5s80fCuwG