ガス田の共同開発で合意したはずが
日本のEEZ(排他的経済水域)と中国のEEZが重なる東シナ海には、日本が主張する「日中中間線」のすぐ西側(中国側)に、天然ガスや石油を産出するガス田が存在する。
中国は、「白樺(中国名・春暁)」をはじめとするガス田の採掘プラットフォームを次々と建設してきた。
もともと日中両国は対立を避けるため、2008年に東シナ海を「平和・協力・友好の海」と位置づけ、ガス田の共同開発で合意した。日本側も出資し、利益を分かち合うはずだったが、この合意は事実上、中国によって反故にされ続けている。
中国は共同開発に向けた具体的交渉を先延ばしにする一方、単独でのプラットフォーム建設を強行し、中間線の中国側には多数の構造物が立ち並んでいる。
とりわけ問題なのは、海底のガス田が中間線で都合よく分断されているわけではないという点だ。
地下の地層はつながっている。中国が中間線ぎりぎりの自国側でガスをくみ上げれば、圧力の変化によって日本側(中間線の東側)に埋蔵されている天然ガスまでが、地中で中国側へ吸い寄せられてしまう。
これが、いわゆる「ストロー効果」である。
日本政府は長年、この一方的な開発に対して「極めて遺憾である」と抗議を繰り返してきた。
しかし中国側は、
「自国の管轄海域における正当な開発だ」
として取り合わない。
日本が抗議の言葉を並べている間にも、日本の国益となるはずだった天然ガスは、24時間365日、ストローで吸い取られるように中国へ流れ続けている。これはもはや、外交問題という次元を超えた「物理的な資源の収奪」にほかならない。