寄合いの意思決定システムが西洋近代を超克するヒント
デニーンはバンス副大統領のブレーンであると言われ、トランプ大統領のイラン攻撃に反対して両者の溝が広がっていると言われています。イランとの停戦協議は失敗に終わりましたが、逆にトランプの後継者としてではない大統領選挙への登場の可能性が出てきた。
次の大統領選挙は、トランプ的なポピュリズム政治とデニーン的なリベラリズム=西欧近代の超克の対立構造になるのではないか、と予想します。
デニーンの言っていることの多くは、東洋的で、日本の伝統社会にこれまで存在してきた価値観に近く、日本こそが、インターネットやAI技術の進展によって大きく揺らいでいる民主政治を乗り越える道を示せるのではないかと考えます。ロラン・バルトが『表徴の帝国』で喝破した「空虚な中心」としての天皇の下で紡がれてきた、同質的、同族的、農耕民族的社会における共同体の寄合や談合のような意思決定システムや、頼母子講や無尽といった経済システムの中に、西欧近代を超克する社会システムを作るヒントが存在するのではないでしょうか。
日本は今、権威主義でもない、単に投票による相対過半数で国家の意思を決定する現代民主政治でもない、新しい政治システムを欧米に先駆けて作ることができる可能性があるのです。今の日本の政治の現状を振り返ってみると、平成の政治改革で目指した「政権交代のある二大政党の政治」にもはや国民の期待はありません。自民党に代わりうる政治勢力は、焼け野原の状況にあります。かといって今は支持率が高い高市内閣も、複雑で不透明な国際情勢の中で国民が託すに足る安心感は持たれていないでしょう。ある意味、確立した政治構造のない「政治の空白」ともいうべき状況にあります。
そんな時だからこそ、文明論に立脚した政治の本質を腰を落ち着けて見つめなおし、新たな政治理念を作り上げる時なのではないでしょうか。この浪人の時間を天から与えられたものと受け止め、私は「新たな民主政治とは何か」を模索する場を、学識者や現職・元職の国会議員、経済人などを集めて作り、世界的な新しい政治の流れを作ることができないか、と考えています。