「毎月1万円なら無理なく払える」。そのように考えて、リボ払いを使っている人は多い。しかし実際の相談では、何か月も払い続けているのに残高がほとんど減っていない、というケースがよくある。
理由は単純だ。支払ったお金の多くが利息に回っているためだ。今回は実際の相談事例をもとに、なぜこのようなトラブルになるのか、FP(ファイナンシャル・プランナー)が解説する。
「毎月きちんと1万円払っている」「遅れたことはない」
相談があったのは30代の会社員。きっかけは引っ越しや家電の購入が重なり、短期間でまとまった出費が発生したことだった。冷蔵庫や洗濯機の買い替え、敷金や引っ越し費用などで支出が増え、当初は分割払いで対応したのだ。
しかし、毎月の支払いが思ったよりも重く感じられ、「少しでも負担を軽くしたい」と考えてリボ払いへ変更した。その時点での残高は約40万円。だが、毎月の支払いは1万円に固定されたため、「これなら問題なく払える」という安心感があったという。
その後、日々の生活費の一部もカードで支払うようになった。食費や日用品、交際費など、「現金を減らしたくない月だけ使う」という感覚だ。本人としてはあくまで一時的な利用のつもりで、「来月も1万円払えば大丈夫」という認識でいた。
ただ、実際には「その少しだけ」が積み重なる。1回あたりの利用額は大きくなくても、回数が増えることで残高は徐々に増加していったのだ。気づいたときには、残高は50万円を超え、最終的には60万円近くまで膨らんでた。
それでも本人の中では、「毎月きちんと1万円払っている」「遅れたことはない」という意識が強く、大きな問題とは感じていなかった。むしろその逆で、「ちゃんと管理できている」という感覚に近い状態だったと話す。
しかし、あるとき、クレジットカードの明細を細かく確認したことで、状況が変わることになる。カードの明細を見ると、数か月前の残高と見比べても、金額がほとんど減っていなかった。そこでようやく、「毎月払っているのに、なぜ減っていないのか」という疑問を持った。
そこで支払いの内訳を確認すると、毎月の1万円のうち、約6000円~7000円が利息として差し引かれ、元本に充てられているのは、3000円前後しかなかった。つまり、1万円払っているにもかかわらず、実際に借りたお金はほとんど減っていない状態だということだ。
さらに問題だったのは、この状態に気づくまでの間も、カードの利用を続けていたことだ。当然、利息でほとんど減らない一方で、新たな利用が上乗せされるため、残高は横ばいどころか緩やかに増えていく。
このままではいつまでたっても終わらないのではないかという不安を感じ、「毎月払っているのに減らないのはおかしいのではないか」と思い、相談に来たという。
そして、ここで初めて、「支払っていること」と「減っていること」が別であるという理解に至った。(※プライバシーの観点から内容を一部脚色)
「払っている=減っている」この思い込みが一番危ない
リボ払いでは、残高に対して利息がかかるものだ。残高が大きいほど利息も増えるため、支払額が少ないと元本はほとんど減らない。
今回のように、1万円払っても実際に減るのが数千円程度では、返済には長い時間がかかる。そして、「払っている=減っている」とは限らない点が重要だ。
リボ払いは毎月の支払いが一定な分、全体の負担が見えにくくなる。そのまま使い続けると、返済期間も総支払額も大きくなる。
対策としては、元本がどれだけ減っているかを確認し、必要に応じて返済額を増やすといいだろう。これだけでも負担は変わるからだ。
今回の相談でも、返済額の見直しと利用停止によって改善に向かっていった。「払えているか」ではなく「どれだけ減っているか」で考える――この視点が大切だ。
【プロフィール】
石坂貴史/証券会社IFA、AFP、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、マネーシップス運営代表者。「金融・経済、住まい、保険、相続、税制」のFP分野が専門。