千葉県・市川市動植物園のサル山で暮らすニホンザル「パンチ」が注目を集める中、同園の公式Xアカウント(@ichikawa_zoo)が2026年4月12日、サル山の観覧マナーを注意喚起するための新たな取り組みを実施し、SNS上で話題になっている。
今回の取り組みは、観覧マナーを呼びかける「標語」をXユーザーから募集し、その中から採用したものを現場でプラカードとして掲げる。最終的に300件以上の応募があったという。市川市動植物園の運営責任者である安永崇課長に詳しい経緯を聞いた。
園の来園者が26年2月中旬から増加
取材に応じた安永氏によれば、パンチは25年7月26日に市川市動植物園で生まれた雄のニホンザル。母ザルが育児放棄したため、飼育員の人工哺育で育ち、26年1月19日からサル山に戻った。オランウータンのぬいぐるみを母親代わりに抱いている。
園の来園者が増加したのは26年2月中旬からだと安永氏は話す。サル山にいるニホンザルたちのストレスを軽減するため、柵の周辺に規制ゾーンを設け、来園者が公平に観覧するためのマナーを呼びかけるようになったという。
観覧マナーの注意喚起については、3月19日のX投稿が大きな注目を集めた。
この投稿では、(1)最前列で観覧する人はかがむ。10分以内に後列に譲る(2)立入禁止ゾーンには入らない(3)サル山の外周を移動する場合は走らない(4)園内でのライブ配信は営利・非営利を問わず禁止(5)観覧中は静かにする(6)撮影で脚立・椅子・三脚・自撮り棒を使うことは禁止(7)サル山観察中の飼育員の業務に支障が出るため、長時間話したり撮影したりすることは控える――の7点を伝えている。
こうした中、園は4月12日朝にXを更新し、「マナー向上の標語」を募集。そして、「パンチくんはレンズじゃなくみんなの笑顔を見てますよ」「お願いです!後ろのひとも見たいんです!!」などの標語を採用し、現地でプラカードとして掲げる様子を紹介した。
閉園後、最終的には300件以上の応募があったと明かし、「マナー問題、この先も改善目指していろいろやって行こうと思います!」と呼びかけていた。
一連の投稿を受け、SNSでは、「ほっこりする啓発運動」「巻き込み上手だなぁ」「新しい取り組み、アイデアに感服致しました」「なかなか行けない人も参加型にしてくださるSNS運営素晴らしいです!」などの声が寄せられている。
安永氏が明かす「私の願い」
安永氏は14日、「マナーが完全に守られている状況とは言い難い」とJ-CASTニュースの取材に明かす。マナーを守ってもらう方法を考える中、今回の取り組みは「思いつき」で始めたという。
「当日の朝、プラカードをやろうと急に思いつきました。SNSで呼びかけて、集まった標語をその日の貼り出してみようと。ネットの皆さんにも注目していただけるし、実際に来た方も楽しみながらマナーを学んでいただけるんじゃないかと思って始めました」
安永氏によれば、最初は自身が考えた2種類の「標語」をプラカードに掲げ、その後は公式Xアカウントに寄せられたものから選別した7種類の「標語」を使用した。
この取り組みの効果について、「完璧に皆さんがマナーを徹底するところまではいかなかった」とも明かす。しかし、最前列の観覧者から「課長さん大変だね」「頑張って」などの応援の声が寄せられたのは印象的だったと話した。
「もしマナー問題が深刻化するようであれば、立ち止まらずに観覧したり、撮影を禁止したりするような『観覧自体の規制』も方法としてはあると思います。しかし、『~~していけいない』というルールは作るのは簡単ですが、それをやりすぎると、お客様の満足度には繋がっていかないと思っています」
そのため安永氏は、「皆さまにマナーを守ってもらい、『みんなで楽しめる動物園としての雰囲気』を作っていきたいというのが私の願いです」とし、「できるだけ規制をかけずに楽しんでいただきたいので、マナー向上のための試行錯誤を続けている」と明かした。