電車のドア付近では、乗降時の動きに伴い思わぬ事故が起きることがある。ベビーカーを利用する際は、位置取りによって危険が生じる場面もあるだろう。田中美咲さん(仮名・30代)は、ベビーカーで移動中、車内で思わぬ出来事に直面した。ドアが開いた瞬間、子どもの手が戸袋に...娘をベビーカーに乗せて、電車で移動していたときだった。「周囲の邪魔にならないようにと思って、ドア付近の端にベビーカーを寄せていたんです」田中さんは、ドアの上にあるモニターで降車駅を確認していたという。「ほんの数秒、目を向けただけでした」しかし、電車が停車しドアが開いた直後、娘が突然泣き出した。異変に気づいて確認すると、娘の手がドアの戸袋部分(ドアが開いた際に、そのドアが収納される壁面内のスペース)に引き込まれていたのだ。「何が起きたのが分からず、頭が真っ白になりました」田中さん一人では対応できず、どうすればよいのか分からない状態だった。乗客が助けてくれたおかげで大事には至らずそのとき、近くにいた乗客がすぐに動いた。男性2人がドアの隙間をつくろうと手を貸し、さらにホームにいた女性も状況に気づいた。「車掌さんに向かって、『電車を動かさないでください』と大きな声で伝えてくれました」周囲の連携により、電車は発車せず、娘の手も無事に戸袋から抜くことができた。大きなケガはなかった。手は赤くなっていて、汚れがついていたという。その後、駅員に案内され、駅の控室で手当てを受けながら休憩することになった。「少しずつ落ち着くことができました。とっさに助けてくださった方々には、本当に感謝しています」田中さんはこの経験を振り返り、ドア付近の危険性を実感したと話す。「これまでは、ベビーカーが邪魔にならないようにすることばかり考えていましたが、場所によっては『別の危険性』あると分かりました」電車のドア付近には注意喚起の表示があるが、実際に危険を意識する機会は多くない。ベビーカーを利用する際は、周囲への配慮とともに、安全な位置を意識することも重要といえそうだ。
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