ゴールデンウィーク中の客商売は、書き入れ時だ。人々が動く季節は売り上げ目標を高く設定するほど、気合の入り方が違う。ただし、5月後半から祝日のない6月にかけては苦戦を強いられやすいため、この時期は書き入れ時、かつ、きたるボーナスにかけての準備期間だ。基本的に歓楽街の人の流れは世間とだいたい同じだが、ゴールデンウィークはけっこうヒマだ。細かく説明するなら「業種によって集客に大幅な差が出る」のだけれど、飲み屋はあまり期待ができず、都会の有名店は潔く休業中。それくらい、夜の街から人が消えてしまうのだ。都会の飲み屋はなぜ、ゴールデンウィークが暇なのか?大型連休は集客が期待できると思われがちだが、普段からキャバクラで大金を落とすような客は「富裕層」。リッチな人々はイベントに合わせて遠出をしたり、家族サービスに勤めたりして遊び以外にとにかく忙しい。わざわざ混みそうな連休をねらって指名嬢に会いに行く必要性もないため、結果的に都会の歓楽街はガラガラ状態へと陥るのだ。たとえ富裕層に当てはまらなくとも、普段から通う指名客は「連休じゃないと店に行けない」という理由がない。遠方に住んでいなければ通常の土日や金曜の夜でも会いに行くことは可能で、ゴールデンウィーク期間を敢えて狙う意味がないとなると、営業をかけられない限り連休中は店から足が遠のいていく。結局、ゴールデンウィークは「いつも来るメンバー」に対する期待ができず、フリー客や「レアキャラ」がメイン客層と化す。旅行客や帰省、初任給が入った新入社員がよく現れる時期でもあり、彼らはリピーターの望みが限りなく薄いため、彼らを迎え入れる=店は目先の売り上げだけを追う形になってしまう。店に来る以上は誰もがお客様だが、「ノリできた」、「キャバ初めて」、「とにかく騒ぐぞ!」の3拍子が揃えば、もう地獄の空間でしかない。だいたいこの手の集団はマナーもなっておらず、次も来ない割に女の子と連絡先交換をしたがるので、キャストも不機嫌→黒服がフォロー→店の売り上げもなんとなくビミョーという「負のスパイラル」が起きがちだ。こんなデメリットが考えられ、普段から数字の良い店は数日閉めただけで売り上げが傾くことはまずないからこそ潔く休む。もちろん開けているところもあるが、通常に比べるとキャストの数が少なめだったり、これといった催し(イベント)をしなかったりなど、ユルっと営業する場合が多い。ゴールデンウィークも忙しい業種...「1本くればありがたい」飲み屋とは反対に、オトナのワンダーランドである風俗業は割と忙しい。理由はいろいろあるとは思うが、その中の1つに「メイン客層が独身」なことが大きく関係するだろう。家族サービスもなく遠出もしないなら......と、時間を持て余した男性が「なんとなく」で遊びに行くからだ。この時期は初任給を得た新入社員、大学へ進学した若者、地方から遊びに来た旅行客などがせっかくだからと、高貴な遊び(?)をしたくなるらしい。よって、ワイワイ騒がしいキャバクラよりも、営業時間が長く、オトコの刺激をたっぷり満たせる風俗店へ足を運ぶというわけだ。キャストからすると接客した本数×バック=1日の給料のため、客がリピートしようと、1回ポッキリでも誰かを接客すればお金にはなる。店もお客を入れたら入れるほど売り上げにつながり、この時期の集客力の高さは店・キャスト双方にとって非常に有難い。まぁ一見客のオンパレードで客層が荒れる可能性が高いのは、飲み屋と一緒。1日の稼ぎが上がればキャストは割り切るしかないのだが......それでも、場合によってはイライラがかなり増えてしまうらしい。お金と引き換えにストレスも倍増となると、本当に大変な商売だ。ちなみに、ゴールデンウィーク明けは分かりやすく集客が落ち、やってくるのは閑散期。風俗業は5月後半から1か月くらい苦戦を強いられ、また7月のボーナス月に盛り返すという。人の流れは飲食業に限りなく近く、飲み屋よりも混雑具合が少し読みやすいといえようか。同じ連休中でも、業種によって差が出るのは歓楽街の多くの人が知らない部分だろう。「夜職」といえど1つにまとめることはできず、似たような世界線で異なった動きになるのは実際に働かないとわからないものだ。客層も遊び方も、とにかくバラバラ。よく考えれば昼の世界も「こういう店には○○なタイプのお客さんがつきがち」といった傾向がみられるため、夜の世界も似たような考え方で目を向けてみると、ちょっと面白く感じるかもしれない。【プロフィール】たかなし亜妖/2016年にセクシー女優デビュー、2018年半ばに引退しゲーム会社に転職。シナリオライターとして文章のイロハを学び、のちにフリーライターとして独立する。現在は業界の裏側や夜職の実態、漫画レビューなど幅広いジャンルのコラムを執筆中。
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