転職や就職活動では、面接時の対応に戸惑ったという声がたびたび聞かれる。厚生労働省の公正採用選考特設サイトなどでも、採用選考において、応募者の人格を否定するような発言や威圧的な対応は望ましくないとして伝えており、近年は「圧迫面接」に対する問題意識も広がっている。関口浩一さん(仮名・40代)は過去に、企業面接で忘れられない出来事を経験したという。待合室では父親の話題で盛り上がっていたが...20年前のことだが、当時の関口さんは、入社から1年も経たないうちに前職を退職し、アルバイトをしながら実家で生活していた。「周りが就職していく中で、焦っていた時期でした」そんな時、市内企業の求人を見つけ、すぐに応募したという。面接当日、緊張しながら待合室で待っていると、50代くらいの男性社員が履歴書を見ながら部屋に入ってきた。「もしかして、Aさんの息子さん?」Aは、関口さんの父親の名前だった。関口さんが、「はい、そうです」と答えると、男性は急に打ち解けた態度になったそうだ。「お父さんと昔ゴルフに行ったことあるよ」「昔、お世話になったんだよね」「最近元気?」このように親しげに話しかけられ、関口さんも安心感を覚えた。「面接官に知っている人がいると思うと、少し緊張がほぐれました」しばらく雑談が続いたあと、男性は笑顔で「じゃあ、あとで面接でね」と言い、部屋を出ていった。だが――。「うちの仕事なんて無理」「根性なさそうだよね」口調も変わり圧迫その後、会議室へ案内されると空気は一変。先ほどまで穏やかに話していた男性が、腕を組み、厳しい表情で座っていたのだ。最初は、別の社員が一般的な質問をしていたが、途中からその男性が口を開いた。「前職、1年経たずで辞めてるけど、なんで?」待合室の時とはまったく違う口調だったという。さらに――。「1年も続けない人は、うちの仕事なんて無理だよ」「根性なさそうだよね」「苦労したことないでしょ?」そんな言葉も続いたそうだ。「さっきまで父の話で盛り上がっていた人と、本当に同一人物なのかと思いました」面接を受けながら、関口さんは「この会社には絶対に入社しない!」と感じていたという。面接後、企業側から採用の連絡はあったものの、辞退を決めた。「当時は、圧迫面接のようなものが珍しくない時代だったのかもしれません。ただ、相手を追い込むような面接で『何が分かるのだろう』と疑問でした」近年は、採用時のコミュニケーションや応募者への配慮を重視する企業も増えている。一方で、威圧的な面接対応に強いストレスを感じる人もいるという。違和感を覚えた場合は、ムリに入社を決めず、職場環境を冷静に見極めることも大切になりそうだ。
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