「適宜適切に対応させていただいております」2026年5月20日、斎藤元彦兵庫県知事は定例記者会見でこのように述べ、記者の質問に「適宜適切」を何度も繰り返した。告発文書問題のやりとりを中心に、斎藤知事は記者の質問に対して、斎藤知事が同じ回答を繰り返し、かみ合わない問答が今なお続いている。「今お答えさせていただいた通り」「全く答えになってない」20日の定例記者会見で、フリーランスの記者は、公益通報に詳しい上智大の奥山俊宏教授が執筆した『兵庫県告発文書問題』(岩波書店)に関連した質問をした。記者は、告発文書のことを多くの人が知るきっかけとなったのは、斎藤知事が24年3月27日の会見で告発文書に関して発言したことがきっかけだったのではないか、と書籍で指摘されている点についてどう思うか、尋ねた。斎藤知事は「特定の書籍に対するコメントについては差し控えさせていただきたいと思う」とした上で、「文書問題については、県として、先ほど来、申し上げているとおり、個別のものについてはこれまで述べさせていただいておりますので、文書問題については県として適正適切に対応していただくという旨のお答えになるという点でご理解いただきたいと思う」と答えた。記者は、知事が議会や会見で司馬遼太郎の本や漫画作品など特定の本に言及しており、特定の書籍にコメントしないと話した点を「全く矛盾していると思う」と厳しく指摘した。斎藤知事は、「そういったご指摘は真摯に......」と話し始めた際、記者は重ねるように、「受け止めるならちゃんと答えて」と返す。知事「今お答えさせていただいた通りです」記者「全く答えになってないんですが、いいです、いつも通りなので」こんなやり取りで終えた。質問に回答避け、「これまで何も述べていない」とツッコミもフリー記者はさらに、告発文書について質問を続けた。報道機関や議員、警察など特定の10か所に送られており、その旨、告発文書の末尾にも書かれており「文書が全く広まっていなかった」と述べた。そして、「斎藤知事自身が会見でその文書に触れられることで、まさにご自身で不特定多数に広げた形になっている」と指摘。「あの時点で、この文書が不特定多数に広まりつつある、これが広まっているという状況を確認されていたんですか」と聞いた。斎藤知事が、「先ほど来、申し上げている通り、文書問題については適正に対応してきたということです。そして、文書の内容について、大変誹謗中傷性の高い文書ということで、これはそのまま放っておくと、多方面に影響する......」と発言している途中で、記者が質問の趣旨である「あの時点で広がっている状況はあったのですか、ということを聞いている」とただした。この後、以下のやり取りに。知事「これまで述べさせて......」記者「これまで何も述べていないです」知事「文書問題についてはさまざまな観点からご質問がありましたが、これからも適正に対応してきたという......」記者「あの時点で不特定多数に広がっている状況はあったのですかと聞いているんです」知事「ですから、誹謗中傷性の高い文書をこのまま放置しているとやはり問題だということで」記者「あの時点では広まっていなかったということですよね? このまま放置すると広がってしまうから会見で言及し止めたということですね」知事「県としては適正適切に対応してまいります」記者「全く適切でないということを500ページ近くかけて書いた本なので、読まれた方がいいと思います」「ちょっと承知はしてないですね」記者は、『兵庫県告発文書問題』の中で、月刊文藝春秋の24年11月号に斎藤知事のインタビューが掲載されており、その中で「どうして匿名の文書を不特定多数に送るのか」という風に、知事自身が言及されていることに触れた。「24年11月の兵庫県知事選を巡って最初に流布されたデマであり、偽情報であった」と書籍で指摘されているとして、「斎藤さん自身が雑誌でデマを吐いたというふうに厳しく指摘されています。どうですか」と尋ねた。斎藤知事は「さまざまなメディア等の対応については、適宜適切に対応させていただいております」と答えると、記者は、「全く不適切な、適宜適切。不適切な答えにしか思えませんが、もういいです」とあきれたように応じた。この記者は、他に県職員による知事を撮影した写真が県政のPRのため、斎藤知事個人のアカウントに提供している問題を追及した。斎藤知事は記者の質問に「適宜適切に使わさせていただいている」などと繰り返した。そして、やりとりの最後、記者は知事をこのように皮肉った。「今日、適宜適切、何回言いましたか」斎藤知事は「ちょっと承知はしてないですね」と答えるにとどまった。
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