思わず舌打ち... 今度は「委縮させた気まずさ」が残る
高橋さんはついに――。
「チッ」
思わず舌打ちをしてしまった。
「自分でも驚くぐらい、はっきりと聞こえるレベルだったと思います」
すると、男性は高橋さんのほうを見て、「すみません」と小さな声で謝った。それ以降、男性は露骨なくらい咳を我慢し始めたという。
口元を押さえ、肩を縮こませながら耐える様子が見え、どうしても我慢できない時だけ、小さく咳払いをしていた。
「その姿を見ていたら、今度は私のほうがいたたまれなくなりました」
もちろん、感染への不安は本音だった。一方で、舌打ちによって相手を必要以上に委縮させてしまったことにも、後味の悪さを感じたそうだ。
「男性にも事情があったのかもしれないと思うと、なんとも言えない気持ちになりました」
駅に到着して電車を降りた後も、「感染への不安」と「男性を追い込んでしまった気まずさ」が入り混じったモヤモヤ感が残った。
満員電車では、わずかな行動でも周囲へ強いストレスを与えることがある。感染症が流行する時期だからこそ、咳エチケットや配慮を改めて意識する必要がありそうだ。