「これ以上、会見が続けられない状況になってきてますね」斎藤元彦兵庫県知事は2026年6月17日の定例記者会見で、記者から飛び出した「不適切な発言」にこのように述べた。会見では、フリーランス記者の「人殺し」発言を巡り、記者から質問が相次いだ。また、会見場のそばで行われる抗議デモでは「斎藤元彦 人殺し」の声が上がり、プラカードも掲げられた。その声は会見場に響き、異様な雰囲気となった。「詳細なコメントは控えたい」連発斎藤知事が、6月3日の定例記者会見で「人殺しやないか、お前は」などと発言したフリーランス記者に対して、名誉毀損容疑で刑事告訴したことへの質問が相次いだ。「なぜ民事ではなく、刑事で告訴したのか」との問いかけに、知事は、「個人的な件に関することですので、この場での詳細なコメントは控えたいと思う。詳細は代理人に問い合わせいただければ」と述べると、記者は、「公人中の公人である知事が警察に訴えるというのは非常に重大な行為と思うので、一定の説明責任を果たしていただく責務があると思う」と反論した。それでも知事は「個人的な件に関することですので」と繰り返した。また記者は、「斎藤知事が『公人としての受忍限度を超えている面がある』とおっしゃっていたが、発言した記者は『正当な意見論評だ』という風に主張している。質疑を踏まえた文脈があって、直接人を殺したと言っているわけではない。斎藤知事の不適切な文書問題の対応が県民局長を追いやったという風に分かるのではないかという意見もある」として、知事の見解を求めた。これに対しては、「先日来、お話させていただいている通りということで、法的な対応を進めている。この場での詳細なコメントは控えたい」との説明を繰り返した。さらに記者は、刑事告訴という措置をとったことで、言論や報道への威圧につながるといった影響を考えたのかと問い質した。斎藤知事は、「表現の自由などについては最大限尊重されるべきという風に思う」すると、記者は「最大限尊重している公人の行為ではないのではないか」と反論。知事は「私は知事という立場ですからさまざまなご指摘やご批判というのをしっかり受け止めていくことが大事」と述べた。「今の発言の中で、不適切な言葉が複数」別の記者は、記者への刑事告訴を巡り、「斎藤知事は内部告発した職員の方を自殺に追い込んでいるということで、人殺しという批判があっても不思議ではありません」と前置きした上で、こう質問した。「例えば、猛暑が予想されている今夏にドクターヘリが飛ばなくなってしまったことをもってしても人殺しと批判されることはあるかと思う。こちらは県庁内部のトラブルでなく、県民の命が失われかねない状況です。こうした県民の命が失われるかもしれないという指摘で批判されることがあっても、斎藤知事は『人殺し』と批判されれば、刑事告訴するのでしょうか」会見冒頭に知事から発表があった、整備士不足によるドクターヘリの運航問題を絡めての問いだ。斎藤知事は、「ちょっと今の発言の中で、不適切な言葉が複数含まれておりますので、幹事社さんにおかれましてはどのように取り扱うのかご検討いただきたいという風に思う」と述べ、ドクターヘリに関しては「県民の命を守るために全力を尽くさせていただいているところ」とした。記者は、「ドクターヘリが飛ばないことをもって『人殺し』と批判されても刑事告訴を検討するのでしょうか」と尋ねると、斎藤知事は、「不適切な表現が一部入っておられますので、ちょっとお答えは差し控えたい」と答えた。すると、記者は、「斎藤知事は先日の記者会見で『人殺しやないか』と批判されて、記者会見の場ですからその場ですぐ反論できたにもかかわらず、あえて反論せずに刑事告訴された。斎藤知事の理屈では、記者会見の動画を見た人が、斎藤知事が『人を殺している』『殺人犯だ』と思ってしまう可能性があるということで刑事告訴していると思いますが、人を死に至らしめた覚えがなければ、なぜその場で『違います』と言って、丁寧に説明しなかったのでしょうか」と追及。知事がその場で発したのは「あ」の一文字だけだと指摘した。知事は、「今も発言いただいた中で、不適切な表現、言葉というものがいくつか入っておられますので、この点は幹事社さんに今の段階での見解をうかがいたいと思いますし、やはり言葉として不適切な面があると思いますので、今の回答はですね、会見の場にちょっと対応すること自体懸念がある」と答えた。「なんで答えられないんですか」記者は「どこがどう不適切なのかということをおっしゃっていただければ」と応じると、知事は「私から回答することは控えたい」と、直接の言及は避けた。類似の問答が続き、知事は、「幹事社さんがどうされるかですけど、これ以上、会見が続けられない状況になってきてますね」とヒートアップ。記者は、「命を失われかねない政策を批判した場合、人殺しという言葉を使ったら、刑事告訴されるのか、YesかNoでお答えください」と迫った。知事が回答を避けると、記者は「なんで答えられないんですか」と知事の姿勢を批判。また、会見場外のデモを念頭に、「県民の皆さんが今、批判をしています。先日は『人殺し』という言葉をやめようということもあった。みんながそれぞれ考えて批判している訳ですけれども、それを明言していただかないと、みんな怖くて何も言えなくなっちゃうんですよ。批判もできなくなる」と刑事告訴するのかしないのか、明言を迫った。記者と知事のラリーが止まらなくなる状況で、幹事社から、「一連の質問でですね、我々幹事社としまして、不適切な発言があったという認識ですので、別途協議いたします」と発言がなされた。知事は、「さまざまなご指摘というものがあるということは真摯に受け止めながら、(ドクターヘリの)安定的な運航に向けてしっかりとこれからも関係者の皆様と努力しながら、進めていきたい」と記者に質問には明言せず、会見場を後にした。
記事に戻る